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私の治療室から(その2)「続鍼はなぜ効くの?」
08th 11月 2006
「鍼はなぜ効くんだろう」との疑問について、前回少しお答えしましたが、『氣』がポイントとだけお話して終わってしまいました。
治療とは、「手当てから」始まったとも言われます。痛むところに手を当てることから始められましたそのことからすると、痛むところに鍼を刺す。痛むところを揉み摩る。と言うことはわかりやすいでしょう。しかし、それのみに留まらず、『氣』の存在を発見し、経絡経穴を見つけ出すことによって、経絡中に流れる氣・血の過不足を調整する方策を見つけ出したのです。この調整によって病や痛み等を治癒させていくことが更にパワーアップされていきました。この体系が完成し、古典と言われる医学書(黄帝大経)が紀元後間もなく完成されています。
ちょと難しい話になってしまいました。出来るだけわかりやすく例を挙げながら解説してみましょう。
例えば腰痛の場合。
当院に初めて来られて腰痛を訴える患者さんの中で、すぐにうつ伏せになって待っておられる方がいらっしゃいます。腰が痛いので、腰に鍼をしてもらいたいとの思いが働くのでしょうか。これに関しては、鍼灸未経験者でも同じ光景を見る事があります。つまり、潜在的に鍼は痛むところに刺すものとの固定観念があるのでしょうか。これもひとつの方法ではありますが。
私はすぐに仰向けになってもらい、問診等を行い、脉診を経て腰痛を起こしている基となる経絡の変動(氣・血の過不足)を見極めます。そして、この変動を調整することによって経絡のバランスをとり、そのことによって内臓(臓腑経絡)バランスを取っていきます。
その結果、腰痛を治そうとする力が増し(もともとあるが低下している治癒力を回復させる)痛みを取り除いていくことが出来るのです。
この際の刺鍼箇所は、病体が教えてくれている「証」によって示された手・足の要穴に対して行われます。この治癒力をまず増進させる刺鍼が大切なのです。
仕上げとして、痛む箇所への刺鍼を数本加えて治療を終えます。
やさしく書こうとすればするほどどつぼにはまってしまい、益々わかりにくくなってしまいました。
乳幼児の治療などは、てい鍼(ていしん)と呼ばれる刺さない鍼を用います。先ほど書いたように、体があらわす「証」によって手足の要穴にこの鍼を近ずけるだけで改善されていきます。
痛むところに鍼を刺し、刺激して改善させるとはずいぶん違いますよね。
「なぜ鍼は効くのか?」との答えにはなっていないようですが、鍼は痛むところに刺して刺激を与えて治癒させるというだけのものではなく、二千年以上前から伝えられてきている『氣』を調整すると言う極めて神秘的な刺鍼法・技術によってのみ達成されていくものといえます。
ポイント
「体が重く疲れやすい。気持ちが落ち込んで何にも出来なくなる等。この他、症状がある場合には必ず経絡の変動があります。氣による調整が必要です」
糖尿病 血糖値を下げる鍼治療の働き
09th 10月 2006
50歳代前半の女性
病院で検査したところ、血糖値が300を超えているとの診断が出され、今すぐに薬を服用するか、食事に気をつけて来月もう一度検査をしてからにするかと言われたそうです。
ご本人は何とか薬の服用をせずに治したいとの思いが強く、それならと当院を紹介されて来院されました。
問診したところ、血糖値が300を超え、鍼治療で治したいとの希望が強く、薬の服用は避けたいとのことでした。食事の内容をお聞きしながら、「鍼治療で血糖値は下げられますが、根本的に治していくには食事のこと、生活習慣のことを改める努力が必要です。双方が良い方向に向かうことで、より早く解消されていきます。一緒に頑張りましょう」とお話しました。
まずは、一ヵ月後の検査で血糖値が100台の前半まで下がっていることが大切です。それに向けてやっていきましょう。週2回の治療から始めました。
ご本人も何とかしたいとの思いが強く、私のお話した食事の内容に沿って頑張っておられました。その結果、検査の結果、血糖値は130程度にまで下がり、本人は大変喜んでおられました。
「私の経験からも短期的には頑張れますが、これが長期にわたるとだんだん出来なくなってきますから、時折緩めながら続けていきましょう。もうしばらく週2回の治療を続けてください」
その後、二ヶ月目の検査で血糖値は103まで下がりました。今後は二ヶ月に一回の検査となり、ご本人は大変喜んでおられました。当然身体は痩せてきて、顔のほほが少し落ちてくぼんだ感じになっています。以前のふっくらとした体つきとは変わりました。
その後半年ほどたって、少しの油断と食べないで大丈夫かとの不安もあってか少し依然の体つきに戻りつつありました。血糖値は140程度に上がっています。
「ここが頑張りどころですね。もう一度はじめの頃のことを思い出しましょう。現代は食べ過ぎて失敗してしまいます。疲れているから、栄養をつけなければ、痩せて来ると人から心配されるから、食べないとげんきがでない・・・・は、間違っています。無理して食べることでかえって、体の元気を失っているのです。もう一度ご自分の身体で体験しましょう」
現在も治療を継続しておられます。そして時々「先生の言うような食事をしていると、体が軽く元気が出ます。時々失敗はしますが」
でも、時々食べないといけないのではとの一般常識にとらわれて失敗をしておられるようです。誰しもが思うことかも知れませんが。
食事のことでもし質問等ありましたら、お問い合わせからご連絡ください。お答えできることは、返信させていただきます。
私の治療室から(その1)「鍼はなぜ効くの?」
08th 10月 2006
連日、患者さんの訴えられる症状を何とか和らげよう、具合の悪い状態を少しでも良い方向に向けていきたいと苦戦・善戦の日々を送っております。そんな中で、脉を診たり鍼をしたりしていますと、多くの疑問や質問を受けることがあります。
今回は、その中から『鍼はなぜ効くんですか?』との素朴な質問が心に残っていますのでそのことからお話していきたいと思います。
よく痛いところに手を当てる(手当て)ことで、少し痛みが和らぐように思うことがあります。これはその部に手を当てるということで、軽く圧迫する、手の温もりで冷えているところに温かみを与える等、その傷む部分を軽く刺激することで痛みが引いていきます。
このように考えますと、鍼も同じことのように思えますね。実際、このような考え方で鍼灸を行っている方々が圧倒的に多いことも事実のようです。生理学の詳しいことを明記できるほど優秀ではない私としては、皆さんの感覚的な面にすがりながら記載することになりますが。
つまり、痛むところに鍼をする、灸をすえると言うことは、なんとなくわかるような気がしますね。
「鍼をすると血行がよくなって痛みが引くんですね」なんかはよくお聞きすることです。
でも経絡治療の立場からは、違うのです。確かに反射作用としての効果は認めないわけにはいかないでしょうが、『氣』はこれをはるかに凌駕する力があると言ったほうがいいでしょう。
私には、気功師のような強い氣を持っているわけではありませんが、鍼という用具を通して生体と
『氣』の交流を行いながら、病態を治癒へと導いていくのです。
誰しもが『氣』を持っており、生体から『氣』を出しているのです。目には見えませんので厄介ですがある方法によってこの『氣』を感じ取ることは可能です。
こんなことを書いてしまうと「なんだか危ない人」と思われてしまいかねませんね。でも、鍼灸の始まりからこの『氣』と言う概念が大切にされてきたのです。
前置きが長くなってしまいました。この続きは次回にさせていただきます。
ポイント
「バランスの取れた身体は、免疫力を高め、病体を治癒へと導きます」
氣の守りで手術時の出血量が少量に
09th 9月 2006
今年の2月に、妊娠中の障害から自然分娩した治療例を書きましたが、この患者さんの出産後に腹部手術した例から、気の守りによる手術の成功を他の例も交えながら書いてみたいと思います。但し、これはあくまでも私(鍼師サイドから見たものですが。
自然分娩を無事済ませ、半年ほどたってから検査を繰り返し、最終的に卵巣の炎症から腹部に水がたまり、その量が1リットルにも達していたそうです。医師曰く「良くこれで自然分娩できたな。よく破れなかったものだ」薄い膜のようなものの中に青黒くにごり、どっろとした液体があったそうです。
出産後も腹部内の水の状態は変わらず、検査結果から手術をして水を抜いたほうがいいとの結論が出たそうです。そのため、手術前に治療を受けたいと3回ほど来院されました。
「氣の守りが強くなりましたから、手術を受けても出血量は少なく抑えられ、術後の快復も早くなりますよ」と言って3回の治療を終え、手術の日を迎えました。1週間後退院し、当院に来られました。
「とっても出血が少なくてびっくりしました。担当してくださった先生が、上司の先生に褒められていたんです。こんなに出血が少なくて良い手術だったと。本当に先生の言うとおりでした。ありがとうございました」
このように、経絡治療により氣の調整をしっかりと行うことで免疫力を高いところで保持し、各部の守りが強められ、その結果手術時の出血が抑えられているのです。このような結果は、今回の症例だけではありません。子宮筋腫、帝王切開でも経験しています。そして、共に術後の快復がよいのです。
子宮筋腫では、鍼治療で筋腫を小さく抑えますが、ケースによっては手術を勧める場合もあります。また、逆子で来られて大半は逆子を治し、自然分娩へと導いていますが、ケースによっては難しい場合もあります。特に、出産予定日が近く硬く小さなお腹の方などは難しくなります。ただ、いずれの場合も次のようなお話をさせてもらっています。「これまでの治療は決して無駄ではないですよ。治療をすることで氣の守りが強まられ、手術時の出血が抑えられ、その結果術後が大変楽になります。安心してください」と。
経絡治療による効果の一面です。
貝原益軒「養生訓」から学んだこと
08th 9月 2006
貝原益軒の「養生訓」から4ヶ月に渡って学んできました。現代人にとってはかなり耳の痛い話の連続だったようです。これまでの内容でお分かりいただけたことと思いますが、すべてに過ぎることは気の滞りを招き、身体の中庸が保てなくなって病気へと傾いていくと言うことです。そして中庸に保つと言うことが、大変難しいと言うこともお分かりいただけたでしょう。このことは、私も含めて皆さんも体験から良くわかっていることですね。
治療室で治療させていただいていますと、良くこの中庸の難しさを感じさせられます。「わかっているんですけど、なかなかやめられなくて」「皆と違う服装が出来ないんです。寒くてきついんですけど。高校を卒業したら暖かい服装にします」「ついつい寝る前になると小腹がすいて食べてしまうんです食べると朝食が食べられなくなってしまうんですが」等々。
自分の欲求に、人の見る目になかなか勝てません。人生一度きり、楽しまなければと言う人もいます。それぞれの人生ですからそれもいいのでしょうが。
でも次のことは言えるのでは。
治療体験から「自分の食欲に任せて食べています。特に、美食の時代と言われ高カロリー食を多く取っています」その結果、心臓に負担がかかるようになりました。つまり、心臓に血液を送る血管が細くなり、狭心症になったのです。治療と共に、食も改善していただき症状が改善されていきました欲に任せ食べ、多くのお金を使い、挙句の果てに医療費も多くかかるようになってしまいます。
私たちは、多くの過ちを犯しつつ暮らしてきています。つまり小過の連続と言えるでしょう。大過はすぐにわかるものですが、小過は知らず知らずのうちに身体を少しずつ変えていきます。
少しだけでいいです。生活を少しだけ見つめなおして診ませんか。
貝原益軒の「養生訓」は今回で終了といたします。まだ、内容的には「総論の前半の内容に過ぎませんが」また、改めて来年にでも連載したいと思います。
これを機会に、少しだけ我慢してみませんか。
不妊から懐妊・出産へ(30歳代前半の女性)
09th 8月 2006
赤ちゃんがほしいと紹介されて来院されました。2回ほど治療をしましたが、その後治療の継続とならず、半年ほどたった頃、再度連絡を頂、治療の再開となりました。問診しますと、「産婦人科で治療を受けていましたが、妊娠出来ませんでした。どうしても赤ちゃんがほしいのです。鍼治療を続けたいと思っていますのでよろしくお願いします」「今までの経験から半年はかかると思いますが、辛抱して通ってください。体は必ず変わっていってくれますよ」
仕事の関係で週に1回程度の治療となりますが、出来るだけ来院をお願いして治療を再開しました。
治療を始めますと、手・足は冷えていて湿り気を帯、お腹は全体的に堅く、小柄で細い体形をしています。全体から受ける印象は、虚体という感じでした。週1回の割りで治療を継続していきますと、次第に湿っていた手・足が温かく乾いた感じに変わっていきました。この間、生理痛・腰痛・体のだるさ等を訴え来院し、その都度軽快して治療を終えていました。
治療を初めて3ヶ月ほどたった頃から、硬いお腹が柔らく変わってきました。この変化は、単なるこの部だけの変化だけではなく、腹部内臓の変化が起こっている証拠なのです。冷たい手・足は内臓の冷えをあらわし、冷えて機能低下しているために腹部が硬く冷たくなっているのです。つまり、お腹の硬さが取れてきたということは、体が温まってきているということをあらわしています。ここでようやく妊娠しやすい状態を作り出してきているといえるでしょう。
半年ほどたって「先生、妊娠しました。ありがとうございます」 「おめでとうございます。大事にしていきましょう。これからも定期的に治療を続けてください。安産の治療をしていきましょう。共に元気で出産を迎えましょう」
その後つわりが強く、治療を続け、無事つわりの時期を乗り越えました。安定期に入り、落ち着いた日が続いていましたが、妊娠7ヶ月頃からお腹が張り出し、仕事もなかなか休めないため余計にはったようです。その都度、治療をしてお腹の張りを取りながら、仕事もなお、続けていました。しかし、冬に入り遠方からの通院なので治療に来ることが難しくなり、お腹の張りがだんだん強くなっていったようです。結果的に、出産予定日よりもかなり早く入院し、出産に備えたようです。その後、今年の1月に無事元気な男の子を出産されました。
臨月に入って、治療が出来なくなリましたが、無事出産されたと聞いて少しは責任を果たせたかなと思っております。赤ちゃんがほしいがなかなか恵まれない方が増えています。そんな中で少しでもお手伝いできたことは、私にとっても大変嬉しいことです。「鍼を受けてみようかな」と迷っている人がおられると思いますが、まず始めてみませんか。一歩踏み出すことで、新たに見えてくるものがあるかもしれません。思い切って重い腰を上げてみませんか。
貝原益軒「養生訓」から学ぶ(その4)
08th 8月 2006
引き続き貝原益軒の「養生訓」から学びつつ、皆さん健康のお役に立てればと思います。
来月は、私なりの総括をしてひとまず閉じたいと思っております。苦労せず、薬等で体調を整えようと安易に考えがちな現代人に注意を喚起していきたいものです。
「中公クラシックス・貝原益軒 養生訓より抜粋」
気血のとどこおらぬよう
陰陽の気というものが天にあって、流動して滞らないから春夏秋冬がうまくいき、万物の生成がうまくいくのだ。陰陽の気がかたよってとどこおると、流動の道がふさがって冬が暖かで夏が寒くなったり、大雨・大風などの異変があったりして、凶作や災害を起こす。人のからだでもまたそうだ。気血がよく流動してとどこおりがないと、気が強くなり病気にならない。気血が流動しないと病気になる。その気が上のほうにとどこおると頭痛やめまいになり、中ほどにとどこおると心臓や腹の痛みとなり腹がはり、下のほうにとどこおると、腰痛・脚気となり、淋せん(排尿病)・痔漏となる。このためよく養生しようとする人は、できるだけ元気のとどこおらぬようにすることである。
心のなかの主人
養生を志す人は、いつも心の中に主人がなくてはならぬ。主人があると、思慮をして是非をみわけ、怒りを抑え、欲を防いで間違いが少ない。心に主人がないと、思慮がなく、怒りと欲とをこらえないで好き勝手なことをして間違いが多い。
我慢が肝心
何事でも、一時的に気持ちのいいことは、必ずあとで禍になる。酒食を好きなだけ取れば気持ちがいいが、やがて病気になるようなものだ。はじめに我慢すれば、必ずあとの喜びになる。
病気のもと
気は一人のからだの中の全体にいきわたるようにしなければならぬ。胸中の一箇所に集めてはいけない。怒り・悲しみ・憂い・思いがあると胸中の一箇所に気がとどこおって集まる。七情が過度になって、気がとどこおるのは病気のおこるもとである。
緑内障 眼圧の低下と視野欠損の修復(60歳代後半の男性)
09th 7月 2006
体調がすぐれず、なかなか眠れないと来院された患者さんでしたが、問診の中で緑内障があることを云われました。「眼圧が高めで、視野の欠損が出てきています。定期的に眼科で視野の検査を受けています」
「緑内障も含めて治療していきましょう。眼圧も次第に下がってきますから、まずは体調を整えつつ、全身を調整していきましょう」低眼圧性の緑内障のようです。来院当初の眼圧は20前後でした。
当初は、週2回の治療から始め、1ヶ月程経過してから体調を診ながら、週1回の治療に切り替えました。治療はその時々、肩こり・右肘の痛み・腰痛・眠りずらい等訴えを主としながら全身調整を継続していきました。
そんな中、治療を開始してから半年ほどたって、眼圧検査を受けたところ、20前後あった眼圧が13程度に下がっていました。その後、体調により多少の眼圧の上がることはありましたが、比較的安定した状態が続いていました。1年ほど経過して、視野検査を受けたところ今まで見えていなかったところが少し見えるようになって、視野が広がっていました。まだ完全な状態ではありませんが、少しずつ体が変化していい状態を作り出しているようです
今年に入り、春に視野検査を受けたところ、はっきりと視野狭窄が緩和され、視野が広がっています。患者さんもびっくりしておられました。「鍼って不思議ですね」「そうですね。鍼をして全身をと整えておくことによって、体は悪いところを修復しつずけています。体の力を信じていきましょう。そのためにも、体調を整えておくことが大切ですね」
現在も体調管理のため、週1回治療に来られています。その都度、少し症状が出ることがありますが、それらをその治療ごとに解決しながら体を整えておくことで、今も修復が体内で続いています。この体の作用に期待しつつ、これからも治療を継続していくことになります。現在は、眼圧9と安定しています。本人曰く、眼圧が一桁になったのは始めてのことだそうです。
貝原益軒「養生訓」から学ぶ(その3)
08th 7月 2006
今月も貝原益軒「養生訓」から多くのことを学んでいきましょう。自分のしたいように生活をしている現代人には、耳の痛い話になるでしょうが、少しの時間自分の心の扉を開いて、取り込んでみませんか。何らかの力になると思います。
引き続き「中公クラシックス・貝原益軒 養生訓より抜粋」いたします。
養生の術を学ぶ
人間にはいろいろわざがある。わざをみがく道を術という。すべてのわざには、習熟すべき術がある。その術を知らないと、そのことが出来ない。そのうち至って小さい芸能も、皆その術を学ばないで、そのわざを習わないと、そのことが出来ない。例えば蓑を作ったり、傘をはったりするのは、至極たやすい技ではあるが、それでもその術を習わないと作れない。まして人間の体は天地と合わせて三才というが、こんなに貴重な体を養い、命を保って長生きするのは、大変大事なことである。その術がなくてはならぬ。その術を学ばないで、そのことを習わないで、どうして養生と長生きが出来よう。そのくせ、小芸には必ず師を求めて、教えてもらって、その術を習う。なぜなら才能があっても、その術を学ばないでは出来ないからである。人の体は至って貴く、これを養生してたもつのは、至極大事な術なのに、師もなく、教えもなく、学びもしなければ、習いもしない。養生の術を知らないで、自分の心の欲に任せていては、どうして養生の道を身につけて、生まれつきの天寿を保てよう。だから、養生をして、長生きしようと思ったら、その術を習わないといけない。養生の術というのは、ひとかどの大道で、小芸ではない。心にかけてその術を勉強しなければ、その道に達しない。その術を知っている人から習得できれば、千金にも変えられない。天地・父母から受けた大変大切な体を持っていて、これを保全する道を知らないで、勝手に身を持ち崩して大病を受け、からだをなくし早死にするのは、なんとおろかなことだろう。
養生の暇がない
こういう異論もある。養生の術などというものは、隠居した老人や、また若くても社会から離れてのんきにぶらぶらしている人にはいいかも知れないが、武士として主君や親に仕えて忠孝に勤め、武芸を習って体を動かしているものや、農・工・商にたずさわって昼夜家のわざに努力して時間がなく、からだに暇のないものには、養生など出来ないだろう。こういう人が、養生の術ばかりしていては、からだがふやけて、そのわざがのろくなって役に立たない、というのである。これは養生の術を知らない人の疑問で、無理もない。養生の術はのんきでぶらぶらしているだけが良いというのではない。心を静かにし、からだを動かすのが良いというのだ。体をのんきにさせるのは、かえって元気が停滞して病気になる。ちょうど流れている水が腐らず、戸の回転軸のところが腐らないのと同じだ。動くものは長持ちし、動かないものはかえって命が短いということである。
睡眠の欲
昔の人は三欲を我慢するようにといっている。三欲とは、飲食の欲、好色の欲、睡眠の欲である。
飲食を制限し、色欲を慎み、睡眠を少なくするのは、みな欲をこらえることである。飲食と色欲を慎むことは、人は知っている。ただ睡眠の欲をこらえて、寝るのを少なくするのが養生の道であることは知らない人がいる。睡眠を少なくすると病気をしないようになるのは、元気が循環しやすいからである。睡眠が多いと、元気が循環しないで病気になる。夜遅くなって床に入って寝るのはいい。昼間に寝るのは最も害がある。日が暮れて早く寝ると食気が停滞して害がある。ことに朝夕に飲食がまだ消化せず、その気がまだ循環しないうちに早く寝ると、飲食が停滞して元気を損なうものだ。
昔の人が、睡眠を飲食・色欲に並べて三欲とするのはもっともなことだ。怠けて睡眠を好むと癖になって、睡眠が多くなり、こらえられなくなる。睡眠のこらえられないこともまた、飲食・色欲とおなじである。最初はしっかりこらえないと防げない。睡眠を少なくしようと努力して、習慣になると自然に睡眠が少なくなる。睡眠を少なくする習慣をつけることである。
少しの我慢
古い言葉に「莫大の禍は、須臾(しゅゆ)の忍ばざるに起こる」とある。須臾とはちょっとの間のことである。大きな禍は、ちょっとの間、欲をこらえないから起こるのだ。酒食・色欲など、ちょっとの間、少しの欲をこらえないため大病となり、一生の不幸となる。盃いっぱいの酒、碗半分の食をこらえないために病気になることがある。欲望は少ししか満たせないが、そのため傷つくことは大きい。蛍火ほどの日が家についても、盛んに燃えて大きな禍になるようなものだ。古い言葉に「犯すときは微にして秋毫の如し、病をなしては重きこと、泰山の如し」とある。まことにうまくいったものである。およそ小さなことが大きい不幸になることが多い。小さい過失から大きい不幸になるのは、病気の決まりである。警戒しないといけない。いつも右の古い言葉二つを心にかけて忘れてはならない。
陣痛促進穴により自然分娩へ(30歳代前半の女性)
09th 6月 2006
出産予定日を五日ほど過ぎても全く陣痛もなく、子宮口も開く気配も無いため、このままだと帝王切開になると医師に言われ、何とか自然分娩したいと来院されました。「初めての出産です。何とか自然分娩したいのでお願いします。ホームページを見ました。よろしくお願いします」
「わかりました。今日ははじめての治療ですから少し軽めの治療になりますが、それでも陣痛が来るようになります。ただ、初めてですから陣痛促進穴には鍼を入れません。次の治療に鍼をつけることにしましょう」
初回の治療を始め、所定の治療を終えました。火曜日に来院されましたので、次回の来院を金曜日にと思いましたが(本当は木曜日が適当なのですが、定休日なので)、患者さんは明日にしてほしいとのことで、翌日の来院となりました。実は翌週の月曜日には入院が予定されていましたので、少しでも早くしたいという気持ちが互いに働いていたようです。
翌日来院。「昨日の夜、初めて御印がありました(陣痛)。本当にびっくりしました。子宮口が開いていませんが大丈夫でしょうか」「大丈夫ですよ。前にも同じような方がおられました。全く陣痛もなく、子宮口も開いていない方でお医者さんも出産はもうしばらく先です。といわれていましたが、陣痛促進穴を使うことで、治療の二日後には安産で出産された例がいくつかありますよ。安心してください」 2回目の治療に入りました。所定の治療を終え、三陰交に施灸を終えて、深呼吸をし、いすに腰掛けいざ、陣痛促進穴を探りました。陣痛促進穴は良い位置に現れており、円皮鍼を貼付して治療を終えました。
「翌日か、翌々日には陣痛がきます。陣痛が頻繁に来るようになるまで、背中についている鍼をはずさないでください。強い陣痛が頻繁になったらはずしてください」と伝えて、金曜日の予約を一応取っておきました。
金曜日の朝、電話連絡が入り「陣痛が頻繁になり、病院に来ました。予約はキャンセルさせてください」との一報でした。その後、なかなか子宮口が開かない様子で、出産は月曜日に変わったばかりの時間帯になったそうです。後日、患者さんから連絡が入り「なかなか子宮口が開かず、破水が始まってからあっという間に出産となりました。安産でした。背中の鍼をもっと長く着けていたら、更に早く出産できていたかも知れませんね」との喜びの電話となりました。
以前にも何度となく経験していることですが、そのたびにからだの不思議を感じてしまいます。もういつでも出産はOKとのサインが現れて、教えてくれるのです。このように少しは安産のお手伝いが出来ることは、私にとっても大きな喜びです。もし、このようなケースで困っておられる方、おられましたなら参考にしてください。

