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糖尿病 血糖値を下げる鍼治療の働き
09th 10月 2006
50歳代前半の女性
病院で検査したところ、血糖値が300を超えているとの診断が出され、今すぐに薬を服用するか、食事に気をつけて来月もう一度検査をしてからにするかと言われたそうです。
ご本人は何とか薬の服用をせずに治したいとの思いが強く、それならと当院を紹介されて来院されました。
問診したところ、血糖値が300を超え、鍼治療で治したいとの希望が強く、薬の服用は避けたいとのことでした。食事の内容をお聞きしながら、「鍼治療で血糖値は下げられますが、根本的に治していくには食事のこと、生活習慣のことを改める努力が必要です。双方が良い方向に向かうことで、より早く解消されていきます。一緒に頑張りましょう」とお話しました。
まずは、一ヵ月後の検査で血糖値が100台の前半まで下がっていることが大切です。それに向けてやっていきましょう。週2回の治療から始めました。
ご本人も何とかしたいとの思いが強く、私のお話した食事の内容に沿って頑張っておられました。その結果、検査の結果、血糖値は130程度にまで下がり、本人は大変喜んでおられました。
「私の経験からも短期的には頑張れますが、これが長期にわたるとだんだん出来なくなってきますから、時折緩めながら続けていきましょう。もうしばらく週2回の治療を続けてください」
その後、二ヶ月目の検査で血糖値は103まで下がりました。今後は二ヶ月に一回の検査となり、ご本人は大変喜んでおられました。当然身体は痩せてきて、顔のほほが少し落ちてくぼんだ感じになっています。以前のふっくらとした体つきとは変わりました。
その後半年ほどたって、少しの油断と食べないで大丈夫かとの不安もあってか少し依然の体つきに戻りつつありました。血糖値は140程度に上がっています。
「ここが頑張りどころですね。もう一度はじめの頃のことを思い出しましょう。現代は食べ過ぎて失敗してしまいます。疲れているから、栄養をつけなければ、痩せて来ると人から心配されるから、食べないとげんきがでない・・・・は、間違っています。無理して食べることでかえって、体の元気を失っているのです。もう一度ご自分の身体で体験しましょう」
現在も治療を継続しておられます。そして時々「先生の言うような食事をしていると、体が軽く元気が出ます。時々失敗はしますが」
でも、時々食べないといけないのではとの一般常識にとらわれて失敗をしておられるようです。誰しもが思うことかも知れませんが。
食事のことでもし質問等ありましたら、お問い合わせからご連絡ください。お答えできることは、返信させていただきます。
食養生について
08th 4月 2006
よく具合が悪いときや、風邪を引いたときなど、「栄養をつけないと元気になれないよ。とか、体が疲れぐったりしているにもかかわらず、もっと食べないと元気になれないよ」と言われ、肉等を一生懸命食べることが当たり前になっている昨今です。いつからこんな風になったのでしょうか。
私が幼かった頃には、あまり聞かなかったような気がします。元気な体を作るには、確かにしっかり食べることは大切ですが、果たしてからだが疲労し、まさに今、病と闘っている体にとって、しっかりと食べることはどうなのでしょうか。少し考えてみましょう。
その前に、ひとつ考えてみたいことがあります。
最近、粗食について話題となり、食べ過ぎの現代人に注意を喚起しています。私も粗食を勧めている一人ではあります。以前、ラジオを聞いていましたら、次のような話がありました。結構前のことでしたので正確には記憶していませんが、趣旨は次のようなことだったと思います。
最近話題の粗食に対して、少し批判的な立場からの発言です。
「ここまで平均寿命が延び、世界に冠たる長寿国となったのは、現代の栄養学の貢献が大きいと言えます。今、言われているような粗食では、ここまでの成果は出なかったのではないでしょうか」と言われました。
確かにこの点では貢献大とはいえます。戦前までの平均寿命はここまでではありません。しかし、食べすぎ、動物性のタンパク質の取り過ぎ等で半病人と言われる人たちが増えています。多くの場合、このような栄養過多の人たちが増え、高血圧・糖尿病・心臓病・脳梗塞・膠原病等多くの病気を生んでいると言えます。更に、アレルギーもタンパク質の摂取過多の結果、発症が増えているとの見解もあります。
栄養学によって寿命の飛躍的な延びが持たされましたが、その反面多くの弊害も生んできたのではと思わされます。それは、多くの方が病院を訪れ、多くの薬を服用している現状を見るときにそう思えてなりません。
今だからこそ、粗食が大切なのではと思えてなりません(私の勝手な思いですが)
さて、前置きが長くなりましたが本題に戻ることにしましょう。
わかりやすく事例を挙げてお話しましょう。
1.仕事が忙しく、眠っても疲労がぬけない場合
多くの場合、体の疲れを栄養を一生懸命取り入れれば、疲労回復し元気になれると信じています。食べれば元気になれる。特に、肉等しっかり取ればもう大丈夫。と言う常識があります。
しかし、果たしてそうなのでしょうか。
体が疲れきっているということは、体の基本となる内蔵諸機関も当然その機能を低下させています。体が疲れているのに内臓だけが元気とはなりません。疲れがピークとなれば、それに伴って食欲は落ちているはずです。
食欲を落として、体は自己防衛をしているのです。疲れている胃・腸に食べることによって更に負担をかけ、回復を遅らせているのです。
2.風邪を引いて、熱が出、体がだるい状態
体は風邪を治そうと熱を出し、ウイルス等と戦っています。つまり、ウイルス等と戦うために熱を上げるのです。
この状態で食事をしっかりと取ると、血液の多くが消化管に廻され、せっかく戦って必要とされている血液が不足してしまう事態に陥ります。その結果、戦いに負け、風邪の状態が長引いてしまいます。
これは極端な話ですが、できるだけ少食にし、余力を残しておく必要があるといえるでしょう。
このように、単に食べればいいというものではなく、そのときの体の状態によって、つまり体に聞きながら食べる必要があるといえるでしょう。
「腹八分に病なし」常人でこの数値です。具合の悪いときは「腹六分」ぐらいの必要があるでしょう。
ここまでは、私の体験したことと、学んだことから書かせていただきました。
次回から、江戸時代の貝原益軒「養生訓」から何回か学んでみたいと思います。