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「主訴」 右五十肩(夜間痛を伴う)  冷え性   50歳代の女性

「問診」 右肩関節が痛み出し、しばらくほっておいたが痛みは強くなり、接骨院を受診。治療を継続して痛みはなくなり治療を終えた。その後、

1ヶ月ほどたって夜間に痛みが出、眠れない状態になってしまう。再び接骨院で治療を再開したが、痛みは一向に引かず夜は痛みで良く眠れない日々が続いた。

「切診」 主訴部は冷えて軟弱な感じ。大腸経・三焦経上に痛み、硬結あり。大腸経に細絡あり。背腰部は虚軟で皮膚に艶なし。特に腰部にこそう目立つ(慢性腰痛あり)

「腹診」 大腹・小腹とも虚軟で艶なし。大腹にやや硬さが目立つ。 「脉状診」 沈 遅 虚

「比較脉診・証決定」 肺虚肝実  左適応側(主訴の右・腹部の状態から)

「本治法」 左太淵・太白に補法(難経69難から)  右中封に補中の瀉法(穴反応から)  「陽経の処理」 右偏歴・光明に補中の瀉法

右陽池に補法

「標治法」 亜門・大椎・至陽・命門(脊際の虚実の見極めが大切)  施灸_ 至陽・大腸経の細絡

「使用鍼」 補法 銀1寸2番  瀉法 ステンレス1寸2番  標治法 銀1寸3番

「臨床のポイント」

1.主訴が上焦部にあるため、下位頚椎から上位胸椎部(特に脊際の虚実への的確な刺鍼が大切_左右差)

2.至陽穴への刺鍼および施灸(当然、刺鍼時には脊際の虚実_左右差の見極めが大切)

3.大腸経上に現れる細絡への施灸(痛んでいる流注上に現れてきます。但し、視覚的にはわかりずらい)

「解説」

本治法については、基礎的な知識が多少は必要ですのでここでの解説は控えます(但し、刺鍼にあたっては標・本ともに虚実への的確な刺鍼技術が必要とされますが、特に本治法においては大切となります)

標治法において、臨床のポイントで挙げましたが、大椎穴以下の上位胸椎、特に脊際の左右差・虚実への的確な刺鍼が大切となります。多くの場合、五十肩はこれらの部にゆがみが存在し、このゆがみを是正していかないと痛みは取れても腕が思うように上がりません。

ただこの部だけを意識しすぎて鍼数を増やしては逆効果となります。あくまで経絡治療は全体のバランスの中で刺鍼し、診ていかなければなりません。当然、下焦部への刺鍼が大切となります。バランスの取れた治療は、陰陽を調和させ、その結果として上焦部のゆがみを治すのです。

大腸経に現れた細絡は、指腹の感覚で捉えるもので、訓練を経ないとなかなか見つけられませんが、「きっとあるはずだ」と思いつつ訓練してください。その感覚的な言葉ではなかなか伝えにくいものです。

この症例は、あくまで私の治療の仕方によって書いていますので、これが最善とはいえません。もっと良い治療をしておられる治療家は多いはずですので、あくまで参考に留めてください。ちなみに私の標治法はきずかれたかも知れませんが、脊際への刺鍼のみで鍼数は少なくなっています。

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温穂堂往診部 訪問診療


連絡先(温穂堂 往診部)

電話番号     080-3570-5735

メールアドレス   hari.q.saito@gmail.com

 

 

・訪問診療(健康保険適応)

 

脳梗塞、脊髄損傷、ご高齢者の方など歩行困難で通院が出来ない方に限り、健康保険での訪問治療を予定しております。

※健康保険は保険適応の6疾患に該当する場合にご使用頂けます。

またその際、医師の同意が必要になります。

 


保険適応6疾患

1,神経痛

身体の様々な場所の疼痛(慢性的含む)に適応され得ます。

2,リウマチ

医師によりリウマチと診断されたもの

3,頚腕症候群

頚部(首)・肩・腕の筋肉や靭帯から発生する痛みなど

4,五十肩

肩関節の疼痛疾患で、動作が制限され、腰の後ろで帯を結ぶ様な動作が出来ない、ドライヤーなどで手を上に上げる事が出来ない。夜間、肩関節から腕が痛くて寝られないなど。

5,腰痛症

腰の痛み、腰から足にかけての痛みなど。ぎっくり腰など。

6,頚椎捻挫後遺症

いわゆる、むち打ちの後遺症など。


 

・訪問診療(実費)

 

また、時間が合わず通院が難しい方、小さいお子様がいて、治療院に中々来られない方(当院でもベビーベッドをご用意しております)、またはご両親の介護などで時間が中々作れない方に向けての訪問診療も予定しております。

 

保険での訪問診療・実費での訪問診療について詳細は随時更新致します。

またはスタッフにお尋ねください。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

 

 

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「主訴」 左膝関節内側痛(腫脹を伴う)    40歳代の男性

「問診」 1ヶ月前くらいから左膝に違和感を感じていたが、そのままにしておいた。そんな中、バレーボールの練習があり、練習中に少し重い感じがしたが、練習の間は問題なく痛みもなく動けていた。しかし、翌朝左膝に強い痛みが出、内側に熱を持った腫れが出ていた。起き上がって足を突いてみると、痛みのため足がつけない状態になっていた。仕事にも行けない状態が続き、痛みも一向に引かず、整形外科には行っているがあまり進展しないため、当院に来院。膝をまっすぐに伸ばすことが出来ない。慢性腰痛あり。右膝に慢性的な痛みあり。

「切診」 主訴部は熱を持ち、腫脹している。足は冷えていて、少し湿りかげん。脾経上に痛みあり。

「腹診」 大腹にややかんげとざらつきあり。小腹(肝の見所に圧痛あり。 「脉状診」 沈 虚

「比較脉診・証決定」 肺虚肝実  右適応側(主訴の左・腹部の状態から)

「本治法」 右太淵・太白に補法(難経69難から)  左中封に補中の瀉法  「陽経の処理」 左豊隆・光明 右外関に補中の瀉法

「標治法」  亜門・大椎・至陽・命門(脊際の虚実の見極めが大切)・仙腸関節の虚実の処理  左ムノ部の動脈拍動部

主訴腫脹部のふもと(虚実の境目)に補鍼

「使用鍼」 補法 銀1寸2番  瀉法・標治法 銀1寸3番  コバルト1寸1番

「臨床のポイント」

1.主訴部は熱を持ち、腫脹しているため深い鍼は避け、鍼数はきわめて少なくする。(虚実の境目に注目)

2.ムノ部の動脈拍動部への刺鍼が大切です。(膝の内側に影響を与えます) 仙腸関節の左右差の調整

3.痛みが強く、歩けないため奇経や子午調整が必要です。

「解説」

本治法については、基礎的な知識が必要ですのでここでの解説は控えます。(五十肩の治療例に同じ)

標治法においては、主訴部に刺鍼したくなるものですが、この部分への深い刺鍼はかえって痛みをまし、回復を遅らせます。

更に、主訴部のみにとらわれ、体全体を見なくならないように注意する必要があります。当然、体幹への刺鍼が大切です。つまり全体を見ながら主訴部を考え、免疫力のアップのために、上下左右の虚実の調整が大切です。その中でも、ムノ部(動脈拍動部・仙腸関節)への虚実を踏まえた刺鍼が大切となります。

治療経過は、初回の治療でまっすぐに伸びなかった左膝は、翌朝にはまっすぐに伸ばせるようになっています。

週3回の治療で仕事に復帰できるようになっています。

主訴部(患部)のみにとらわれないように注意しましょう。

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