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自然分娩を望み出産された症例から(陣痛促進穴使用)―30歳代の女性―

二人目の出産に向け順調に過ぎしていたが、出産予定日になっても陣痛が来ずこのままでは帝王切開になってしまうとのことで来院されました。来院されお話を伺ったところ、一人目を帝王切開で出産されたため、今回の出産はどうしても自然分娩で生みたいとのことでした。

一人目を帝王切開で出産されているため、予定日後数日間の余裕しかなく、すでに帝王切開の日が差し迫っている状況とのことです。藁をもつかむ思いでホームページを検索し、来院されたのでした。「鍼治療の体験はありませんが何とか自然分娩できないかとの思いできました。日にちはあまりありませんがよろしくお願いします」とのことです。「出来る事をしっかりとやってみましょう。日にちがありませんが2・3回の治療は必要になるかと思いますのでよろしくお願いします」とお話しして初回の治療に入りました。

治療により脉状が綺麗に整い腹部も柔らかく変化して鍼の良い影響が現れたようです。治療の最後に背部陣痛促進穴を確認し、いつ生まれても良いとからだが教えている位置にあることを確認しました。初回の治療であったためそこへの円皮鍼の貼付はせず、初回の治療を終えました。「ちゃんと背中に陣痛促進穴が出ていますから何とかなるかもしれませんね。今日は初めてなので明日また来てください。その時にその穴に処置しますので」と話し、明日の来院をお願いしました。

翌日来院いただき、所定の治療を終え、最後に背部陣痛促進穴へ円皮鍼を貼付し治療を終えました。

「昨日は軽い陣痛のようなものがありましたが、短時間で終わってしまいました」とのことでしたが、「明日か明後日に強い陣痛が来るかもしれませんので、背中につけた鍼は明日の夜までそのままにしておいてください」と伝えて次回の来院の約束をし治療終了となりました。

ところが身内の入院騒ぎが起きてしまい、約束をした治療日に来院できなくなってしまいました。

その後、数日間連絡がなく、だめだったのかなと思い始めていましたが、「無事に自然分娩できました。ありがとうございました。帝王切開せずに生むことが出来ました」と感謝の連絡をいただき、ほっと胸を撫で下ろしました。「おめでとうございます。連絡ありがとうございます」とお応えして受話器を下しました。

何とかお役に立てて良かったと安堵した瞬間でもありました。

逆子や微弱陣痛で帝王切開になるケースや促進剤を使っての出産のケースが増えてきていいると聞いています。予定日直前になっても予定日を過ぎても陣痛の来ない妊婦さんの出産に向けての治療に携わらせていただく機会も多くありますが、そのたびごとに「良かったなぁ」と安堵できる幸いに私自身も感謝しています。

多くの妊婦さんが自然分娩できますようにと願いつつ、鍼灸治療によるこのような効果のあることをもっともっと多くの人に知っていただけるよう努力していかねばと強く思わされる体験でもありました。

 

 

 

 

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ー出産予定日になっても陣痛が全くなく、帝王切開日が決められましたが、どうしても自然分娩したいと来院されましたー

初産の30歳代の女性です。手足がやや冷えていて、冷え性であるとの自覚のある方でした。出産予定日が間じかに迫ってきているもかかわらず陣痛らしきものが全く感じられず、医師からは帝王切開の日を決まられてあせっておられました。

できることなら自然分娩したいとインターネットを調べていたら、たまたま当院のページにヒットしたそうです。鍼治療は初めてですが、何とか陣痛を起こしてもらいたいとの一念で来院されました。

問診を終え、からだの様子を診てみますと手足にやや冷え感がありおなかの様子も硬く小さめでした。

やや虚体に属するかと思われ、あせって陣痛を起こさせるより、初回は少し全身調整を中心に治療をし、お腹をふっくらとさせからだの力を引き上げることに重点をおくことを説明し、治療に入りました。

初回の治療を終え、からだは温まり冷えていた手足も温かみを帯びていました。硬く小さなお腹もふっくらと広がり母体も胎児も楽になった様子でした。帝王切開の日が決められ、あまり余裕がないため翌日に来院してもらうことになりました。

翌日に来院され、からだが温まっていて楽に過ごせましたとのことでしたが、陣痛は起こらなかったとのことです。「今回の治療を終えると陣痛が起こってきますから安心してください。反応が出てきていますから」と説明し、治療に入りました。

治療の最後に、背部に現れる反応を確認し、円皮鍼を貼付し治療を終えました。「今回の治療で陣痛が起こるようになりますが、出産にいたるような陣痛はまだのようです。おそらく次回の治療後に出産できるでしょう」

二日後に来院していただき、所定の治療を終えた後、最後に廃部の反応点に円皮鍼を貼付しました。「反応店がいいところまで下がっています。明日かあさってには強い陣痛が始まり出産になりますから、強い陣痛の間隔が短くなったら背部に貼付した鍼をはずしてください。楽に出産できますよ」と説明し、3回目の治療を終えました。

 

その後、出産の連絡をいただきました。「治療の翌日に出産しました。ありがとうございます。陣痛が来て2時間で出産できました。お医者さんはじめスタッフの皆さんが初産なのにと驚いておられましたよ」

最近は、微弱陣痛の妊婦さんが多く、帝王切開にいたるケースが増えているように感じられます。また、お腹の小さくて硬い妊婦さんも多く妊娠中に抱える問題も多いのではとも感じています。

今回のように、安産灸をしながら出産を迎えるのではなく、全く鍼治療と無縁で出産予定日になって陣痛が起きず、来院されるケースはまだまだ僅かです。できることならば、もっと早くに治療に来ていただき調整をおこなって出産へと希望するものです。これはなかなか難しいとは思いますが、もっと多くの方々に知っていただければと日々願ってます。一鍼灸師のつぶやきに過ぎませんが。

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初産を帝王切開で出産され、二人目を自然分娩したいと願った症例(30歳代後半の女性)

初産でさかごとなり、いろいろやってみられたそうですが、結局さかごは治らず帝王切開にて出産された。めでたくお二人目を授かったが今回もさかごとなり、助産院から紹介され当院へ来られました。

当初は、さかごの治療ということで来院。さかご治療のほうは、私の経験上妊婦さんのお腹の状態・妊娠週から診て容易に治すことが出来ると思われました。数回の治療でさかごは戻りました。その後、「安産灸を続けていきましょう」ということで状態を診ながら1週間から2週間に1回の割合で来院していただき、治療を継続していただきました。

治療を継続していますと「一人目は帝王切開での出産だったので、二人目は何とか自力で出産したい」と打ち明けられました。「ただ、帝王切開で出産された場合は、次の出産時にも安全を確保するため帝王切開になるケースが多いようです。私のできることはやっていきますから、自然分娩に向けて調整していきましょう。臨月に入る前に産科の先生に、自然分娩したいという強い思いを話してください。その上で、産科の先生にもご協力してもらいましょう」

その後、産科の先生の許可がもらえ、自然分娩に向けて治療を継続しました。但し、条件として「出産予定日を過ぎたときには帝王切開になります」と言われました。

臨月に入り、治療間隔を週1回に戻し、予定日の10日前からは週2回の治療となりました。特に出産予定日の1週間前から背部に出る“陣痛促進穴”の様子を見ながら予定日に強い陣痛が起こるようにと治療を継続しました。その結果、予定日二日前に背部の反応がいい位置に現れ、そこに所定の治療を加えて治療終了となりました。

無事予定日の出産となりました。翌日、連絡をいただきました。「とっても楽な出産でした。初めての自然分娩でしたが、皆が驚くほど短時間の安産でした。どうもありがとうございました」

最近良く聞く話として、今回のようなケースが多いとお聞きします。つまり、一人目の出産を何らかの事情で帝王切開となり、二人目の妊娠で今回はどうしても自然分娩したいということです。1回目が帝王切開になる理由はいろいろあるでしょうが、その中のひとつとして“さかごの問題・微弱陣痛の問題等”があると聞いています。どうしても、鍼治療には抵抗があるとは思いますが、今回の例のように成功するケースが多いのです。すべてが成功するわけではありませんが、それでも多くの手助けが出来ると思っております。

今回の症例を通して、鍼治療の良さを少しでもわかっていただければ幸いです。そして、多くの妊婦さんの手助けが出来ればと願っております。

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出産予定日を五日ほど過ぎても全く陣痛もなく、子宮口も開く気配も無いため、このままだと帝王切開になると医師に言われ、何とか自然分娩したいと来院されました。「初めての出産です。何とか自然分娩したいのでお願いします。ホームページを見ました。よろしくお願いします」

「わかりました。今日ははじめての治療ですから少し軽めの治療になりますが、それでも陣痛が来るようになります。ただ、初めてですから陣痛促進穴には鍼を入れません。次の治療に鍼をつけることにしましょう」

初回の治療を始め、所定の治療を終えました。火曜日に来院されましたので、次回の来院を金曜日にと思いましたが(本当は木曜日が適当なのですが、定休日なので)、患者さんは明日にしてほしいとのことで、翌日の来院となりました。実は翌週の月曜日には入院が予定されていましたので、少しでも早くしたいという気持ちが互いに働いていたようです。

翌日来院。「昨日の夜、初めて御印がありました(陣痛)。本当にびっくりしました。子宮口が開いていませんが大丈夫でしょうか」「大丈夫ですよ。前にも同じような方がおられました。全く陣痛もなく、子宮口も開いていない方でお医者さんも出産はもうしばらく先です。といわれていましたが、陣痛促進穴を使うことで、治療の二日後には安産で出産された例がいくつかありますよ。安心してください」 2回目の治療に入りました。所定の治療を終え、三陰交に施灸を終えて、深呼吸をし、いすに腰掛けいざ、陣痛促進穴を探りました。陣痛促進穴は良い位置に現れており、円皮鍼を貼付して治療を終えました。

「翌日か、翌々日には陣痛がきます。陣痛が頻繁に来るようになるまで、背中についている鍼をはずさないでください。強い陣痛が頻繁になったらはずしてください」と伝えて、金曜日の予約を一応取っておきました。

金曜日の朝、電話連絡が入り「陣痛が頻繁になり、病院に来ました。予約はキャンセルさせてください」との一報でした。その後、なかなか子宮口が開かない様子で、出産は月曜日に変わったばかりの時間帯になったそうです。後日、患者さんから連絡が入り「なかなか子宮口が開かず、破水が始まってからあっという間に出産となりました。安産でした。背中の鍼をもっと長く着けていたら、更に早く出産できていたかも知れませんね」との喜びの電話となりました。

以前にも何度となく経験していることですが、そのたびにからだの不思議を感じてしまいます。もういつでも出産はOKとのサインが現れて、教えてくれるのです。このように少しは安産のお手伝いが出来ることは、私にとっても大きな喜びです。もし、このようなケースで困っておられる方、おられましたなら参考にしてください。

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陣痛促進穴の効用

09th 2月 2005

20歳代後半の女性

出産予定日に遅れること2週間。入院前日に来院されました。

お医者さんから、陣痛促進剤か、それで駄目な時は、帝王切開と言われていました。

何とか自然分娩したいとの強い希望から、当院に来院されました。

通常の治療を行った後、背部に出る穴反応に円皮鍼をつけて治療を終わりました。

患者さんに「明日か、明後日には強い陣痛が起こり、楽に出産出来ますよ」と説明しました。

治療の翌朝、強い陣痛が始まり、午前8時に無事元気な女の子を出産されました。

陣痛促進穴は、出産が近くなり、もういつ出産してもいいですよと、体が教えてくれる反応です。

ですから、自然な状態で出産を迎えることが出来るのです。

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ー無生理状態から定期的な生理、そして姙娠出産へ (30才代の女性)ー

自然に生理になることが無く、長年病院に通って治療を受けていたそうです。

しかし、ホルモン注射を受けたときには生理になるが、そこから定期的に、順調に毎月生理になるところまではいけず、ホルモン療法を受けたときのみ生理になるということを繰り返していたそうです。

そんな中、鍼治療が良いのではないかと紹介され来院されました。

当初は、病院での治療も合わせながら鍼治療を行っていました。鍼治療開始から2・3ヵ月後にはホルモン療法を受けなくとも自力で生理になることが少しずつ出来るようになってきました。しかし、毎月というわけにはいかず病院の治療と併用という時期がしばらく続きました。

医師からは、「このままホルモン治療を続けていかないと治らないよ」といわれ、患者さんも迷いながらも併用治療を行っていました。

しかし、生理の間隔は少しずつではありますが狭まってきましたが、毎月順調とはいかない状態が続いていました。

お医者さんからは再度治療を続けないといけないと言われながらも、病院での治療間隔を伸ばしていってもらうようにしました。それでも以前よりは生理の状態が良くなってきていました。この事実はお医者さんも認めざるを得ない様子だったそうです。

しかし、身体を妊娠するに足る状態に変えるにはまだ時間が必要のようでした。特にホルモン等薬の投与を繰り返してきていて、身体は冷えている状態です。どうしても姙娠可能な身体に変え、生理を順調な状態に導くために、薬の投与を全く受けない状態が必要と強く感じました。そこでお願いをしてみました。「半年間で良いですから薬を全くきって鍼治療だけで御願いします」と。

信頼関係が無ければとっても受け入れてはもらえないことです。今までの治療の中で培われたものがあったのでしょう。快く受けていただきました。

鍼治療のみでの治療が始まり、開始してから半年が過ぎようとしていた頃から急に「生理がなかなかこないんです」との話がありました。以前にも数ヶ月生理が飛んでいた時期もあり、当初はあまり氣にしていなかったのですが、「なかなかこない」と治療のたびに言われるようになりました。そうこうしているうちに少しお腹に目立つものが感じられるようになり「ひょっとしたら姙娠かもと」感じられるようになっていました。本人もお腹の違和感(少し膨らんできた様子)を覚え心配されていました。病院へ行くことを進め確認をしていただくことにしました。

病院で検診したところ妊娠5ヶ月とわかり、本人も医師も共に驚いていたそうです。

その後、妊娠中の治療を継続していただき、途中逆子にもなりましたが、鍼治療により正常に戻し、最後には陣痛促進穴の反応を捉え、無事出産予定日に安産で出産されました。

今回の事例のように、生理不順で悩んでおられる方も多いです。ホルモン投与だけでは問題解決が困難な場合も多いようです。もともと身体は悪い状態を良い状態に戻そうという機能を持ち合わせています。その力を引き出してあげられる鍼治療(経絡治療)の威力と効果を改めて教えてくれた症例でした。

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不妊の改善

08th 1月 2009

あいさつ文

開院以来新潟で、妊婦さんや子供が欲しいがなかなか妊娠することが出来ない人(不妊) ・妊娠はするが8週程度で流産してしまう人等、 毎年治療を通して関わりを持たせて頂いています。

この関わりを通して、いろいろなお話をお聞きしたり、また、させて頂いたりしている中、 「不妊・妊娠・出産など」についてのページを新たに設ける必要性を感じました。

不十分な内容であると思いますが、少しでも不妊の改善の知識として皆様の参考にしていただければと思います。

■アレルギー体質の改善について ■アトピー体質の改善について

不妊の改善①~安産灸のすすめ~

鍼灸による健康法・治療法は、仁術として紀元前より行われており、 医学の古典にも三陰交穴の婦人病や男女生殖器疾患の改善に極めて著効のあることが明記されています。

また、産婦人科医の石野信安氏も、妊婦の三陰交への施灸は安産であるばかりでなく、 胎児の体質改善にも大きく役立つと豊富な実例を挙げて、その効果を説いておられます。

安産灸の継続により、本格的な陣痛が始まってから初産であっても、短時間で出産できます。

また、難産を避けることが出来ますので、産後の肥立ちも良くなります。

更に、胎児の置かれている子宮内の条件、すなわち羊水の成分が理想的に経過しますので、 胎児が異常に動いて位置を変えることがありません。

ですから、臍帯を首に巻いて斜頚や先天性脳性麻痺、あるいは股関節脱臼等になることはありません。

昔から「小さく生んで大きく育てる」と言われています。安産灸の継続により、 元気で丈夫な赤ちゃんを出産することが出来ます。

しかも、安産で。 妊娠中に鍼なんて!と思われる方もおられると思いますが、心配無用です。かえって母子共に体調が整えられ、 妊娠中も元気に過ごすことが出来ます。

一度ご検討ください。

三陰交穴の取り方

三陰交穴は足の内果(うちくるぶし)の上三寸にあり。

その取り方としては、内くるぶしの上際に三本指を当てると、太い骨の後際にへこんで押すと痛い所があります 。

それを目当てに取ります。

施灸は、胎児が動き始める満5ヶ月目(16週)、腹帯締める頃から始めます。 それ以前に早く施灸を始めますと、流産の恐れがありますのでご注意ください。

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不妊の改善②~陣痛促進穴について~

最新の治療例asitubo2

一般的には三陰交穴への施灸によります。

例えば、経絡治療による鍼治療を加えつつ、臨月に至ると15~20壮の施灸を加え、 いよいよ陣痛が始まりますと、30壮ほどの施灸を加えます

これによって無事出産となります。

当院においては、出来るだけ妊婦さんの負担を軽減したいために、施灸の総数を抑えた形で治療いたしております。

また、陣痛が始まってから治療に来られることも難しく、 本人による施灸も難しいため別のツボ(背部の細絡)を使って安産に導いております。

陣痛促進穴

臨月に入り出産が近ずいてくると、背部にツボ反応が現れてきます。

その反応が第3~5胸椎の高さに下がってくると、「いつでも出産可能ですよ」と体が教えてくれます。

そこで体の状態に従って鍼治療(経絡治療)を加え、三陰交に7~9壮の施灸をし、 最後に背部に現れた「陣痛促進穴」に円皮鍼を貼り、治療を終えます。

そうしますと、翌日か翌々日に強い陣痛が起こり楽に出産することが出来ます。

但し、これは意図的に出産日を操作するために用いるものではありません。 あくまで出産予定日を目安にし、 胎児の状態、背部のツボ反応を併せて治療しています。

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不妊の改善③~つわりを克服するために~

妊娠をすると誰もが、その程度の差はあれ“つわり”を体験します。

本当に軽く終わる人、 妊娠当初から始まり、入院にまで至る人もいます。

どこでそのような差が出てしまうのでしょうか。 “つわり”を軽く終えるために、臨床から学んだこと等を参考にしながら、書いてみます。

「つわりは、母胎の血液の酸素不足で強まるが、これは母体の腸の門脈の酸素不足によるから、 横隔膜呼吸をじゅうぶんにして、腸を冷やさないようにすれば、つわりは克服することが出来る。生殖器も肺も、 すべては腸から出来ていることを忘れてはならない」 (門脈とは、大動脈から腸に入り、消化された栄養を豊富に吸収して、 肝臓の関所を通って、心臓に還る静脈のこと)「赤ちゃん」の進化学  西原克成著より

「赤ちゃん」の進化学でも、腸の冷えが“つわり”に大きな影響があると説いています。

臨床からも、消化器系統と深い関係があると言えます。

つまり、体が冷えていて、胃・腸の弱い方に多いようです。 (例えば、子供の頃からバス旅行が苦手で、すぐにもどしてしまうような人等) 必ずそうなるとは限りませんが、かなり高い割合で“つわり”になっています。 ですから、治療の中心も脾経(消化器系)絡みがほとんどになっています。

脾経は、飲食物が直接入る「胃」と「脾」からなり、 冷たい物やたべすぎ・陰の食物の取りすぎによって、冷やされ、 消化能力を低下させてしまいます。

その結果、消化器系統が弱くなり、いわゆる胃・腸が弱い人になってしまいます。

そして“つわり”を誘発し易い体に傾いていきます。

また、妊娠しにくい方へ傾きますので、注意してください。

手・足が普段から湿っぽくぬれていて、冷えている方は注意が必要となります。 日々の食生活・過ごし方に問題がありますので良く検討してください。 鍼灸治療による体質改善も大切となります。

ご質問のある方は「お問い合わせ」「掲示板」等から質問してください。

“つわり”は、鍼灸治療(経絡治療)によって軽く過ごせるようになりますから、ご相談ください。

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不妊の改善④~さかご・胎児の位置異常~

最新の治療例

さかごは、妊娠7・8ヶ月に入り胎児が正常な位置に無いことを言います。

つまり、胎児の頭部が上方(横隔膜方向)に向いている状態を言います。 あらためてここで説明をする必要も無いでしょうが。

では、どうしてさかごになるのでしょう。 その原因のひとつに体の冷えが考えられます。

陰性の強い食物を取り過ぎていますと、体も陰性(冷え)に傾き、陰陽のバランスが崩れ、 その結果として位置異常が生じてしまいます。

現在の日本においては、陰性の強い食べ物が好まれ多く食されています。

一例を挙げますと、ラーメン類、パン、ケーキ、果物等です。 その他、年中冷たい飲み物が好まれ、 冬の寒い時期にもかかわらず氷の入っている冷えた飲み物が飲まれています。

これらの取り過ぎは、さかごだけの問題ではなく、体全体のバランスを崩し、 疲れの抜けにくい、だるい状態を引き起こしますので注意してください。

臨床的には、下腹部がふっくらしている妊婦さんの場合は、 比較的簡単にさかごを治すことが出来ます。

しかし、下腹部が硬く逆三角形のようになっている妊婦さんは、 戻りにくく時間がかかりますので、早めに鍼灸治療を受けられることをお勧めします。

さかごと診断されたら、さかご体操を指導され、それで簡単に戻るケースも多いですが、 簡単に戻らない時には、鍼灸治療もご検討ください。

特に、先ほど書きました下腹部の硬い逆三角形になっている方は、早期に治療をお受けください。

さかご・位置異常に効果のあるツボ 至陰穴(足の小指外側爪の角を3ミリほど入ったところ)への施灸が有効です。 その他にも有効な箇所がありますので、反応を見ながら施灸しています。 (ツボ名の無いところで効果のある処もあります)

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不妊の改善⑤~不妊症・不育症について~

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最新の治療例

医学的に見れば、不妊症と不育症とは区別して語るべきものであるでしょう。

しかし、鍼灸治療の立場から、つまり、体全体を見て全身調整をする立場から、 体の中に起こっているひとつの現象として捉え、 書かせていただきます。

私自身、治療室でよく次のようなたとえ話をさせていただいております。

「肥えた豊かな畑に落ちた種は、やがて根を張り芽を出して大きく成長していきます。茨の生い茂った畑に落ちた種は、やがて根を張り芽を出して成長しますが、 根がしっかり張れずやがて枯れてしまいます。砂漠のような荒地に落ちた種は、根も芽も出すことが出来ずに枯れてしまいます」「今、あなたの体は一体どれに当たるでしょうか。肥えた豊かな畑に作り変えて行きましょう。 体は、いつでもいい状態に戻そうと頑張っています。鍼灸治療(経絡治療)でお手伝いするだけで体は大きく変わっていきますよ」

この例え話は、幼稚に思えるかも知れませんね。

でも、こんな中に真理があるかも知れません。 一見、医学の専門用語をたくさん使うともっともらしく聞こえますが、何の解決にもなりません。

体は、常にいい状態に保とうとしています。つまり、揺れながら恒常性を維持しようとしています(ホメオスターシス)

これは、漢方から考えると、五臓六腑がその働きを均衡に保とうとすることに繋がります。

陰陽五行論による治療体系がそれにあたり、治療によって、 バランスの取れた五臓六腑は免疫力を引き上げ、 「肥えた豊かな畑」に作り変えて行きます。 不妊症にしても、不育症にしても、妊娠して出産するには、不適切な体の状態なのです。 ですから、 「妊娠してもいいですよ」と体が教えてくれるような状態に改善し作り変えなければなりません。

一緒に鍼灸治療(経絡治療)で妊娠サインを出せるように頑張ってみましょう。

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不妊の改善⑥~積み重ねを大切に~

ここまでご覧いただいてお分かり頂いたと思いますが、「冷え」と言う言葉がキーワードになっています。

また、「冷え」かとうんざりしておられる方もいらしゃるでしょう。

でも、大切なことなのです。冷えた体は、免疫力を低下させ、各内臓・諸機関の働きを確実に低下させ、 能力を落としてしまいます。

その結果、様々な症状を現してしまいます。そのことにきずいて欲しいのです。

きずくことによって初めて、体を改善していくことが出来るのです。

まず第一に、「冷えた」体を改善したいと思うことです。 そして次に、「冷えた」体をどうしたら改善できるのか考えることです。

何とかしたいと言う思いは、体を改善していくために「必要な力」となります。

特にポジティブな思考は「体を改善する力」を倍加させます。

まずは、力まず、出来ることから始めてみましょう。 食事のこと、運動のこと、生活リズムのこと等、あなたの出来そうなことから始めてください。

例えば、食事について言えば、食べ過ぎず腹八部に押さえることや、 冷えた陰性の強い食品は避けること等。 また、栄養補助食品に頼り過ぎないこと等です。

運動について言えば、筋力をつけるための運動ではなく、良く歩くことです。

それも元気を与えてくれる太陽の光を受けながら。 但し、昨今問題になっている紫外線には注意しながらになりますが。

太陽の光は植物にとって大切なように、私たち人間にも大切なものです。

生活リズムについては、基本的な考え方として「生体リズム」を 「太陽のリズム」に合わせることです。

すなわち、朝日と共に起き、日暮れと共に眠る。これは極端な話ですが、 最近は体内時計が大幅にずれてきています。

夜更かし、朝寝坊は、生活リズムを狂わし、体調を崩す元となります。

これらはほんの一例ですが、是非前向きに始めてください。

始める事であなたの体は変わっていきます。 あなた自身の体を信じてみましょう。

出来ることから少しずつ積み重ねていってください。

「そう簡単に改善できないよ」と思われる方も多いでしょうが、私たちの体は、 正常な状態に戻そうといつも一生懸命働いているのです。

ですから、治そうと心がけることで大きく変わっていきます。

そして、体が「温まる」方向へと向かうために工夫していくことです。

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不妊の改善⑦~治療例から~

安産灸のお話

1.切迫流産の症例(30歳代前半の女性)

初産の女性で、妊娠の前期から良く腰が痛くなり、長い時間立っていられなかったとのことでした。

妊娠5ヶ月に入った頃、腰の痛みが更に強くなり、 家事仕事も出来ないほどになり、実家に戻られたそうです。

しかし、体調はよくならず、6ヶ月に入る頃から、子宮腔が開きだし、 産婦人科での投薬もあまり効を得ず、 体は冷え切り、益々悪い状態に成って行きました。

開業医では手が施せず、大病院を紹介され、そちらに行く予定にしていたそうです。

そんな中、当院を紹介されましたが、本人は来院できるような状態ではなく、 こちらから往診となりました。

「明日紹介された病院に行く日になっていますが、とても具合が悪くて」と言われ、 夏だと云うのに体は冷え切っていて、 唇も真っ青の状態でした。

脈診すると、強い弓の弦を張ったような状態で、非常に体がきつい様子を表しています。

証を立て治療を開始しました。強い弦脈は治まり、全体的に柔らかな状態に変わりました。

青かった唇や血の気の引いた顔に赤みが差してきて、 声の様子もすっかり変わり妊婦さんらしくなりました。

「それじゃ、明日病院に行く前に治療に来てください」と、 来院を約束し、初回の治療を終えました。

翌朝一人で車を運転して来院されました。昨日とは待ったく別人のように、 血色も良くニコニコされての来院となりました。

所定の治療を終え、病院へ向かわれました。

検査の結果、切迫流産の兆候は全く見受けられず、 「信じられません。有難うございました」との、うれしい連絡をいただきました。

「これからが大事ですから、治療を続けていきましょう」 1ヶ月ほど継続治療、安産灸を施しつつ、回復を看て治療を終えました。

その後、元気な男の子を無事出産されました。

2.妊娠後期で体調を崩し、絶対安静と云われた症例(30歳代前半の女性)

妊娠後期(8ヶ月)に入り、次第に体調が崩れだし、少し動いただけでお腹が張り、 具合が悪くなり、動けなくなってしまいます。 産婦人科で投薬を受け、安静を言い渡されていましたが、具合はますます悪化し、 一日中横になっている状態でした。 そんな中、当院で治療を受け、安産灸を受けて出産された方から紹介さて来院されました。

お腹は張って硬く、脈状は硬く緊張し、弓の弦でも張ったような状態です。 問診すると、「お腹はずっと張ったままで苦しいです。

少し動いただけで具合が悪くなります」と、答えられました。

「治療を続けていくと体の緊張が取れ、楽に動けるようになりますよ。 今は、お腹の赤ちゃんも苦しんでいますから楽にしてあげましょう」と、話しつつ治療を始めました。

初回の治療を終えると、硬くなっていたお腹が緩み久しぶりに楽になった様子です。

冷たかった手・足に温かみが出、びっくりされていました。

当初、週2回の治療をし、体調の回復と共に週1回の治療となりました。

治療の都度安産灸を施し、出産予定日に少し送れて無事男の子を出産されました。

出産に際しては、陣痛促進穴に円皮鍼をつけ、強い陣痛を導きました。

陣痛促進穴の効用

20歳代後半の女性 出産予定日に遅れること2週間。入院前日に来院されました。

お医者さんから、陣痛促進剤か、それで駄目な時は、帝王切開と言われていました。

何とか自然分娩したいとの強い希望から、当院に来院されました。

通常の治療を行った後、背部に出る穴反応に円皮鍼をつけて治療を終わりました。

患者さんに「明日か、明後日には強い陣痛が起こり、楽に出産出来ますよ」と説明しました。

治療の翌朝、強い陣痛が始まり、午前8時に無事元気な女の子を出産されました。

陣痛促進穴は、出産が近くなり、もういつ出産してもいいですよと、体が教えてくれる反応です。

ですから、自然な状態で出産を迎えることが出来るのです。

つわりの症例

妊娠6ヶ月の20歳代後半の女性 妊娠(初産)初期からつわりが始まり次第に強くなっていったそうです。

妊娠3ヶ月頃からほとんど食事が取れず、それでも嘔吐が続き、 最後には何も戻す物が無くなり、血を吐いてしまったそうです。

そのため、何度も入退院を繰り返しました。

入院時は、点滴を受けるとつわりは楽になりましたが、退院すると、 また、つわりが強くなり、同じことの繰り返しだったそうです。

以前、ご主人がたまたま行った鍼灸院で妊婦さんを見かけたことがあり、 「ひょっとしたら鍼でつわりが楽になるかも知れない」と思い、当院に来られました。

「つわりがひどく、血を吐くまでになりました。鍼で楽になりますか。 妊娠6ヶ月になっているのにまだつらく殆ど食べられません」と話されました。

「鍼でつわりは楽になります。安心してください。 でも、今はかなりバランスが崩れていますので、治療間隔を短くしていかなければなりませんので、お願いします」 手・足は冷え、全身の皮膚からは湿り気が目立ち、声に張りが無く、非常に弱々しい感じを受けました。 脈の状態も硬く沈んでいます。

初回の治療を終えますと、湿っていた皮膚は乾き、硬く張っていたお腹も、 ふかしたても饅頭のように柔らかくなり、体が楽になった様子です。

「久しぶりに楽になりました。もっと早く来れていたらよかった。有難うございます」と、 明るい表情で云われました。

「これからが大事ですから、頑張って行きましょう。来ていただけないと治せませんので、大変ですが、通ってください」 「苦しんでいるお腹の赤ちゃんも楽になり、元気になっていきます」

当初、週3回の治療から始めました。回復後は、週1回の治療となり、 出産で実家に戻られるまで治療を継続しました。

その後、実家に戻られ、予定日の少し前に、元気な女の子を出産されました。

さかごの症例

20歳代後半の女性 妊娠8ヶ月に入り“さかご”となり、さかご体操を指導されましたが、 なかなか元に戻らず、紹介され来院されました。

腹診をしますと、お腹も右上に頭があり、左下に足があって、 さかごの状態がはっきりわかります。

「さかごは、陰性の強い食べ物を取り過ぎていますと、なりやすいのできおつけてください」 「お腹を診ましたら、頭が右上になっていますから、 早めに元に戻してあげましょう」と、説明しつつ、治療を始めました。

腹部は、比較的ふっくらとしていましたが、少し冷え加減で、時折張る感じが強めに出ています。

治療を開始し、鍼を始めますと盛んに胎児が動き始めました。

所定の治療を終え、最後に反応の出ている「至陰穴」に施灸をして初回の治療を終えました。

「鍼をするとものすごく動くんですね。びっくりしました」「こうやって位置を変えていきますよ」 右上にあった頭は右横に位置を変えていました。

このような治療を3回ほど繰り返しましたが、完全に戻らないため、施灸の箇所を変えてみました。

三陰交穴に軽く指頭を当てて、胎児の動きを伺いましたが、あまり動きが持続せず、 以前聞いたことのある処へ指頭を持っていきますと、胎児の動きが強く持続しました。

所定の治療後、この箇所に施灸をして治療を終えました。 五日後に来院。

「昨日検診を受けたところ、さかごは治りましたと、 言われました」と、うれしそうに話されました。

「良かったですね。またさかごにならないように、食事にきおつけましょう」 その後、さかごにはならず、無事元気な女の子を出産されました。

最後に施灸した箇所は、内果から中封穴に向かう線上に当たります。腹部に手掌を当てながら、もう一方の手で反応点を探ります。 反応点に当たりますと胎児は激しく動き始めます。 至陰穴、三陰交穴も同様にして反応を診ますと、比較できます。

不妊症についての症例

30歳代前半の女性 当院へは、当初臀部痛で来院されました。

問診しますと、 「数ヶ月前に始めての妊娠で、8週目で流れてしまいました。

腰から臀部にかけての痛みは、以前から頻繁にあります。

鍼が怖くて今までは、マッサージを受けていましたが、こちらを紹介され思い切って来ました」 「子供の頃からどちらかと言えば、体の弱い子供でした」とのことでした。

手・足は冷えていて少し湿っています。腹部も少し皮膚がざらつきが目立ち、湿り加減です。

「これだけ体が冷えて湿っていると、妊娠してもなかなか育ちにくいですよ。腰の痛みもそのためです。 鍼で体質を変えますから、怖がらずに治療を受けてください」と話しつつ治療を始めました。

数箇所鍼をしましたら、「まだ鍼はしていないのですか」と尋ねられました。

「もう何箇所か鍼をしてますよ。大丈夫でしょう」 初回の治療を終え、痛かった臀部の痛みが取れ、冷えて湿っていた手に温かみが出、 乾いた感じに変わり、びっくりされた様子です。

「こんな風に体は変わります。妊娠して元気に育つことが出来るように、治療を続けて行きましょう」 その後、継続して治療を行い、約半年ほどで妊娠することが出来ました。

安産灸を施しつつ、8ヶ月くらいまで当院で治療を継続し、実家に戻られてからも、 紹介した治療院で治療を受けられ、 無事元気な男の子を出産されました。

当初は、鍼を非常に怖がっておられましたが、今では、全く微塵も感じられません。

人との出会いの不思議を、特に感じられた症例です。

「鍼は痛いから行かない」という人も多いと聞きますが、この女性も以前はそうだったそうです。 ひとつの出会いを大切にしてみませんか。

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一人目のお子さんも妊娠中に鍼治療を受けて出産された方で、妊娠三ヶ月に入って来院されました。

「お腹が痛くて辛いです。どうもお腹に水がたまっているようです。病院で検査を受けていますが、原因がはっきりしません」早速、問診しつつお腹を触ってみますと、どう見ても妊娠六ヶ月のお腹に見えます。三ヶ月のお腹には見えませんでした。下腹部を軽く押し付けますと痛みが出、腹腔内に水の貯留が伺えました。「医学的には原因がはっきりしていなくても、東洋医学では体全体を捉えて治療しますから大丈夫ですよ。治療しながら痛みをとっていきます。それと一緒にお腹の赤ちゃんの成長と自然分娩ができるようにやっていきましょう。お医者さんに診てもらいながら鍼もあわせて治療していきましょう」

初回の治療を終えるとゆがんで張っていたお腹がふっくらと軟らかく変わり、痛みも和らいで楽になっていました。この患者さんは、遠方からこられるため病院の通院にあわせて月2回の治療となりました。

妊娠五ヶ月に入ると痛みも落ち着き、安定した状態が続きました。初めは卵巣に水がたまっているらしいと言われていましたが、どうも以前手術した虫垂炎のところに問題があるのではといわれ始めましたが、結局のところ出産後調べてみないとわからないという結論のようです。

安定した状態が続き、妊娠9ヶ月に入り自然な分娩を導くため週1回の治療を継続しました。お腹に水がたまり産道を圧迫していて、自然分娩ができなくなる可能性が高いとの医師の言葉から治療間隔を短くしたものです。

臨月に入り、背部の「陣痛促進穴」の反応も現れましたので、反応部に適切な処置を加えて治療を終えました。無事赤ちゃんは水を押しのけて自然分娩で出産しました。

このところ、妊娠中にいろんな問題で来院される妊婦さんが増えています。鍼治療と聞きますと二の足を踏む人が多いとは思いますが、頭の片隅にでも鍼治療のことを置いてください。

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不妊症の症例を今回と次回(7月中旬頃)に分けて載せたいと思います。

医学的に不妊症と言うには一定の基準があると思いますが、ここではなかなか子供に恵まれない方も含めて載せたいと思います。

今回は、自然な妊娠が難しく体外受精を受けられた方を、次回は流産の経験をし、なかなか妊娠出来ない方の治療例を載せたいと思います。

1.卵管采がうまく機能しない30歳代前半の女性

産婦人科で体外受精をするので、鍼治療も併せてやって何とか妊娠したいと紹介されてきました。

問診しますと、子宮が変形していて妊娠しにくいと医師に進められ手術、その後卵管采の変形も発見され体外受精を選択したとのことでした。

「わかりました。出来るだけのことをやりましょう。鍼治療を継続してください。そうすると、体が変わってきて妊娠を助けることが出来ますよ。また、体外受精に向けての医師の治療・受精卵を体内に戻してからの治療は、結構苦しいですからその緩和にも役立ちます。一緒に頑張りましょう」と励ましつつ、治療を開始しました。

当初、週3回の治療から始めました。

卵子を取る前や受精卵を体内に戻す際等、注射や薬等によってお腹が張り、苦しい状態で何度となく来院されました。

その度に、鍼治療によってその張りや痛みを楽にし、体質改善に努めていきました。

その結果、子宮内膜の厚さが9ミリから11ミリに厚さをましました。

「今まで何度も検査をしてきましたが、こんなに厚くなったのは初めてです」とびっくりされました。

「体が変わってきたんですね。期待しましょう」と励ましつつ、治療を継続しました。

受精卵を戻してから2週間ほどたって妊娠がわかり、喜びを共にしました。

「これからが大事になります。大切にしていきましょう」

その後治療を週2回、更に週1回にし継続しました。

つわりも治療によって軽減し、その後安産灸を施しつつ妊娠後期まで治療をさせていただきました。

出産は遠方の実家に戻られ、無事、元気な男の子を出産されました。

2.全く生理の無い30歳代前半の女性

「受精卵を3週間後に戻しますが、間に合うでしょうか」と紹介を受けて来院されました。

問診しますと、「生理が全く無いのですが、どうしても子供が欲しくて。こちらで妊娠された方がいらっしゃると聞きました。お願いします」とのことです。

「時間があまりありませんが、精一杯やってみましょう。週3回の治療となりますから、来てください」

当初、冷えていた体が短い期間のわりに温まり、変化していることがわかりました。

また、産婦人科での治療により、体調がきつい状態になりましたが、鍼治療によって楽に過ごすことが出来ました。

「お腹が膨れ、張って痛かったのに、鍼をすると腫れも、張りも楽になるんですね。不思議ですね」と感謝されました。

受精卵を体内に戻し、無事妊娠となりました。

その後、つわりが始まり継続治療して、その期間を楽に過ごすことが出来ました。

途中、事情もありしばらく治療を休まれ、臨月に入り再来院されました。

出産予定日が目前になっても、陣痛が来ず、お医者さんからは、「もうしばらくかかりますねと言われました」と。

「陣痛促進穴に反応が出ていますから、もうすぐ産まれますよ。それじゃ、治療しておきましょう。明日か明後日には強い陣痛が起こって産まれますよ。強い陣痛が起きて間隔が短くなったら、背中の鍼をはずして病院に行ってください」

二日後に元気な男の子を、無事、出産されました。

普段は、体質改善を主眼において治療を進めております。

すなわち「肥えた畑に捲かれた種は、強い根をはり、しっかりと生育していきます。でも、茨の張った畑や養分の少ない畑に捲かれた種は、根を張ってもすぐに枯れてしまいます。あなたの体を肥えた畑に作り変えましょう」と例え話をしながら、鍼治療によって自然な妊娠を進めています。

しかし、体外受精によってのみ妊娠できる方もおられるのです。

体外受精で妊娠できる可能性も決して高いとはいえないのが現状のようです。

その確立を、鍼治療(経絡治療)によって少しでも高めるために貢献できればと、この治療を通してあらためて感じました。

体質改善と共にお役に立てればと思います。

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30歳代前半の女性

メニエール病について、その原因や病因は、インターネット上にも多数載せてあり、そちらに譲ることにし、経絡治療の立場からの記事を書きます。

この女性は、妊娠後期に治療に来られ、陣痛促進穴の使用によって、無事元気な女児を出産された方です。

その後、育児に追われ、体調を崩し、激しいめまいと難聴を繰り替えされたとのことです。

病院に通われ、投薬を受けるも余り改善しないため、当院に来院されました。

1年半程前に、ご主人に抱きかかえられて来られたことがあります。

激しいめまいのため、全く動けず。少しでも動こうとすると、更に激しいめまいとなります。

何とかベットに載せましたが、エビのように丸まった状態です。

治療時間が取れないため、まず、救急法を施し、2・30分程そのまま待ってもらいました。

前の患者さんの治療を終え、すぐにベットのわきえ行き様子を伺うと、少し動けるようになっていて、そのまま、本治法を施しました。

最後に施灸して治療を終えました。

まだ少し、軽いめまいが残っているため、そのままベットで少し休んでもらい、回復を確認して帰宅してもらいました。

すっかり楽になり、びっくりされての帰宅となりました。

その後、定期的に来院され、めまい・難聴等はほとんど発症しなくなり、元気に子育てをやってお
られます。

この方は、家庭の事情等もあり、週1回の治療でした。

回復された現在も、2週間に1回、体調管理のため治療に来られています。

現在、メニエール病で苦しんでおられる方が多いと聞きます。

インターネットを開いても、その多さにびっくりさせられます。

今回載せた記事のように、鍼・灸によっても、激しいめまい等の症状にも対処できます。

更に、継続治療によって各内臓の系統を整え、バランスをとることで、病いの本体を治していくことが出来ます。

この症例から、経絡治療を見直していただければ幸いです。

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