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生後、母乳で育て順調に排便していたが、離乳食を始めた頃から排便できなくなっていました。その後改善されると思いつつ、様子を見ていましたが、一向に自力で排便することが出来ず、ついに小児科を訪れることとなりました。

小児科では、便が出さないため、お腹に長くためておくことはあまり良くないと、浣腸を使って毎日便を出すように指示されました。

浣腸を使いつつ、様子を見ていましたが、一向に自力で排便することができず、困っていたそうです。

そんな中、小児はりというものがあり、いいよというアドバイスもあり、当院を紹介され来院されました。

最初に治療室に入ってくる様子を見ていたら、元気な普通な女の子と言う感じです。ベットに乗ってもらい今までの様子を聞きながら体全体を切診しました。お腹は浣腸で排便させているので張っている感じは全くありません。

胸部に皮膚のざらつきが目立っています。更に手・足を触ってみますと非常に冷たく、足は湿っています。胃の上あたりを触って見ますと、少しざらつきがあり、軽く按圧しますと僅かに胃の硬さが感じられました。そのため食事に対する注意を与え、特に子供たちが大好きなカレーとかハンバーグとか胃を硬くし、体を冷やす食品はなるべく避け、ご飯を中心に取るように指示しました。

更に、毎日使用していた浣腸を、様子を見ながら、一日おきか三日に一回の割で使ってみてはと提案しました。

自力排便に向け、少し便座に座る習慣をつけるという大切な意味があります。つまり、毎日同じ時間にトイレに行くことを勧めました。

初回の治療を始めつつ、これからの目安と体の変化について説明し、少し、気長に治療を受けていただくことをお話しました。胸部のざらつき・手足の冷え、特に足の冷えて湿っている状態の改善と体全体の変化についての関係を説明しました。

当初一週間に二回の治療からはじめました。治療を始めて3回目で始めて自力で排便することが出来ました。しかし、その後、なかなか排便できず、様子を見ながら浣腸を使い排便してもらいました。

当初は、便座に座って力むということがなかなかわからず、治療中に何度となく、やってもらいながら練習しましたその後次第にコツをつかめるようになっていきました。

治療開始から一ヶ月ほどたって、たまに自力排便が出来るのですが、単発でなかなか効果が上がっていない感じとなり、

「小児はりは効かない」ということを聞いたとの周りの人からの話もあり、少し不安になったようですが、説得をしつつ治療を続けました。

治療開始から二ヶ月ほどたってから、周りの人のアドバイスもあり再び小児科を受診。丁度、浣腸の使用によって肛門付近に痛みが出、そのため麦芽糖に切り替えたとのことでした。切り替え当初、自力排便が出来ましたが、次第に出来なくなり、週一回の鍼治療もあわせて継続していくこととなりました。

浣腸を使っていた頃にも、肛門付近の便は非常に硬い状態ですが、その奥は柔らかい状態の便があるという比較的良い状態があったようです。

治療開始後、五ヶ月ほどして改善が見られ二日に一回の割合から、次第に毎日排便できるようになり、便の状態も良い状態が続くようになっています。

無事完治し、幼稚園への入園となりました。

なかなか結果が出ない中で、治療を継続していただくことは非常に難しいことだと思います。そんな中、継続治療をしてくださった今回の事例のご家族に感謝いたします。

体質の改善には時間がかかります。信じて継続することの大切さを知っていただけた事例として書かせていただきました。

ちなみに、この女の子の湿って冷たい足は改善され、湿り気はなくなっています。

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貝原益軒の「養生訓」から少し学んでみたいと考え、数回のシリーズに分けて書いていこうと思っておりますが、なかなかのボリュームで、しかも抜粋が難しくどれも貴重な言葉の連続です。私ごときが解説できる代物ではなく現代にも十分に通じる言葉ばかりです。その中で、皆さんと共に学び、是非実現実行していければと願います。

尚、貝原益軒は江戸時代の前期から中期にかけて活躍された方で、儒学者、博物学者、教育家として有名ですこの「養生訓」は彼の晩年に書かれた教訓書として有名です。

「中公クラシックス・貝原益軒  養生訓より抜粋」

「養生訓」 総論から

人間の体は父母をもとにし、天地をはじまりとしたものである。天地・父母の恵みを受けて生まれ、また養われた自分のからだであるから、自分だけの所有物ではない。天地からいただいたもの、父母の残して下さったからだであるから、謹んでよく養って、痛めないようにして、天寿を長く保つべきである。これが天地・父母に仕える孝の本である。

自分のからだに備わっているものは、小さな皮膚や髪の毛でさえ、父母から受けたものだから、むやみに痛めるのは不幸である。まして大きな生命を、自分ひとりのものと思って、慎まず、思うままに飲食・色欲にふけって、元気を損ない、病を求め、もって生まれた天寿をちじめて、早く生命を失うことは、天地・父母への最大の不幸で、愚かなことだ。

もっぱら父母・天地に孝をつくし、人倫の道を行い義理にしたがって、出来ることなら幸福になり、長生きして喜び楽しむことが、誰も願うところでないか。こうなろうと思ったら、まずさきにいった道を考え、養生の術を学んで健康を保つことである。これが人生でいちばん大事なことである。

養生とは

庭に草木を植えて愛する人は、朝晩心にかけて、水をやったり、土をかぶせたり、肥料をかけたり、虫を取ったりして、よく養い、その成長を喜び、しおれるのを悲しむ。だが草木はごく軽いものだ。自分のからだは至って重い。どうして自分のからだを草木ほどにも愛さないでいいことか。

身を慎み、生命を大事にするのは、、人間最大の義務である。

内欲と外邪と

養生の術は、まず自分のからだを損なうものを遠ざけることである。からだを損なうものは、内欲と外邪とである。

内欲_ 飲食・好色・眠り・しゃべりまくりたい欲と七情の欲(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)

外邪_ 天の四気(風・寒・暑・湿)

内欲をこらえて少なくし、外邪を恐れて防ぐのである。こうすれば元気を損なわず、病気にならず天寿を保つだろう。

内欲をこらえる

およそ養生の道は、内欲をがまんするのを根本とする。この根本をしっかりやれば、元気が強くなって外邪も犯してこない。元気が弱いと外邪に負けやすくなり、大病となって天寿を保てない。内欲を我慢するのに大事なのは、飲食を適量にして飲みすぎ食いすぎをしないことだ。脾胃を傷つけ病気をおこすものは食べない。色欲を慎んで精力を惜しみ、寝るべきでないときに寝ない。長時間眠ることを戒め、楽だからといって長く座っていないで時々からだを動かし、気の循環をよくしなければいけない。

食べ物がまだ消化していないのに早く床に入って眠ってしまったりすると、からだの中に停滞が起こって病気になり、いつまでも繰り返していると、元気が出てこないで弱くなる。ふだんから元気を減らすことを惜しんで、言語を少なくし、七情をほどほどにするがよい。七情の中でも、とりわけ怒り・悲しみ・憂い・思いを少なくすることである。

欲を抑え、心を平らかにし、気を和らかにして荒くせず、静かにして騒がず、心は常に和楽でなければならぬ。憂い苦しんではならぬ。これはみな内欲をがまんして元気を養う道である。外邪を防いで負けないようにする。

これら内外のいろいろな用心は養生の大事な項目である。

まさに、現代にそのまま通じる文言である。自分の命は決して自分だけのものでなく、自分さえよければということは養生に反することとなる。

是非、参考にして養生していきたいものです。次回に続きます。

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