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子宮内膜症(20歳代半ばの女性)
09th 4月 2006
20歳になってから急に生理痛が激しくなり、生理のたびに鎮痛剤を服用しなければ仕事ができないほどになりました。
当初は、特に気にせず病院へは行かず、市販の鎮痛剤でその場をしのいでいたそうです。しかし、生理の度に痛みは強く、年を追うごとに益々強くなっていったそうです。しまいには生理の痛みでえびのように丸くなり動けない日も出てきたそうです。
そんな中結婚され、義理のお母さんの紹介で当院に来院されました。
問診しますと、「高校生の頃には生理痛はあまり感ずることはなく、こんなに痛みを感じるようになったのは20歳を超えてからです。生理不順はありません」「一度婦人科で検査を受けたほうがいいとの家族の勧めで検査を受けたところ、子宮内膜症と診断されました。鍼は初めてですが、治りますか」と答えられました。
「手足が冷えています。これは体の中が冷えていることと同じです。子宮内膜症等婦人科疾患は、この冷えによって引き起こされて発祥し、悪化して行きます。鍼をすることで体の芯から暖めて症状を改善し、治していきます。初めのうちはあまりわからないかも知れませんが、定期的に通院してください。比較的早いうちにわかるようになりますよ」
初回の治療時に手足が冷えて冷たかったのですが、治療を終える頃にはどちらも温まりびっくりされていました。
当初、週2回の治療からはじめました。ご家族の理解もあり、比較的通院しやすかったことも完治に導くための大きな要因となります。
治療当初かなり痛みの強かった生理痛は、時には鎮痛剤を服用しても仕事ができなかったほどでした。
治療を始めて3ヶ月頃から次第に痛みが和らぎだし、鎮痛剤を服用しなくとも動けるようになっていました。この頃から治療を週1回に改め、引き続き治療を継続しました。
経絡治療の見方から、治療当初、痛みの激しい状態の時期には「肝経の邪実が目立ち、鎮痛剤の服用をしなくとも楽になった時期には、邪実は消え、肝経の虚に変わっています」
鎮痛剤の服用については、体に悪影響を与えることを話し、なるべく常用しないように注意しました。もちろん、痛みの強いときにはこの限りではありませんが。
ほとんど生理痛も感じなくなった、治療開始から6ヶ月程たった頃、「先生、赤ちゃんができました。ありがとうございます」
朗報が舞い込みました。「それじゃ、もう少し治療をして終わりましょう。その後、つわりが辛いときには、また来てください。おめでとう」
生理痛はほとんど消え、子宮内膜症も改善されたようです。しかも、おめでたい待望の第1子です。
この辺で、当初の目的を終えたので、治療を終了いたしました。
その後、つわりがきついため、来院され数回の治療をして、つわりを楽にし、つわりの治療を終えました。
「妊娠中、何か問題が起きたらすぐに来てください。そんなことがないことを祈っていますよ」
初めにもお話しましたが、婦人科疾患はそのほとんどが「冷え」によって引き起こされ、そして悪化していきます。どうか冷え性の方は、これ以上冷やさぬよう御気お付けください。
食養生について
08th 4月 2006
よく具合が悪いときや、風邪を引いたときなど、「栄養をつけないと元気になれないよ。とか、体が疲れぐったりしているにもかかわらず、もっと食べないと元気になれないよ」と言われ、肉等を一生懸命食べることが当たり前になっている昨今です。いつからこんな風になったのでしょうか。
私が幼かった頃には、あまり聞かなかったような気がします。元気な体を作るには、確かにしっかり食べることは大切ですが、果たしてからだが疲労し、まさに今、病と闘っている体にとって、しっかりと食べることはどうなのでしょうか。少し考えてみましょう。
その前に、ひとつ考えてみたいことがあります。
最近、粗食について話題となり、食べ過ぎの現代人に注意を喚起しています。私も粗食を勧めている一人ではあります。以前、ラジオを聞いていましたら、次のような話がありました。結構前のことでしたので正確には記憶していませんが、趣旨は次のようなことだったと思います。
最近話題の粗食に対して、少し批判的な立場からの発言です。
「ここまで平均寿命が延び、世界に冠たる長寿国となったのは、現代の栄養学の貢献が大きいと言えます。今、言われているような粗食では、ここまでの成果は出なかったのではないでしょうか」と言われました。
確かにこの点では貢献大とはいえます。戦前までの平均寿命はここまでではありません。しかし、食べすぎ、動物性のタンパク質の取り過ぎ等で半病人と言われる人たちが増えています。多くの場合、このような栄養過多の人たちが増え、高血圧・糖尿病・心臓病・脳梗塞・膠原病等多くの病気を生んでいると言えます。更に、アレルギーもタンパク質の摂取過多の結果、発症が増えているとの見解もあります。
栄養学によって寿命の飛躍的な延びが持たされましたが、その反面多くの弊害も生んできたのではと思わされます。それは、多くの方が病院を訪れ、多くの薬を服用している現状を見るときにそう思えてなりません。
今だからこそ、粗食が大切なのではと思えてなりません(私の勝手な思いですが)
さて、前置きが長くなりましたが本題に戻ることにしましょう。
わかりやすく事例を挙げてお話しましょう。
1.仕事が忙しく、眠っても疲労がぬけない場合
多くの場合、体の疲れを栄養を一生懸命取り入れれば、疲労回復し元気になれると信じています。食べれば元気になれる。特に、肉等しっかり取ればもう大丈夫。と言う常識があります。
しかし、果たしてそうなのでしょうか。
体が疲れきっているということは、体の基本となる内蔵諸機関も当然その機能を低下させています。体が疲れているのに内臓だけが元気とはなりません。疲れがピークとなれば、それに伴って食欲は落ちているはずです。
食欲を落として、体は自己防衛をしているのです。疲れている胃・腸に食べることによって更に負担をかけ、回復を遅らせているのです。
2.風邪を引いて、熱が出、体がだるい状態
体は風邪を治そうと熱を出し、ウイルス等と戦っています。つまり、ウイルス等と戦うために熱を上げるのです。
この状態で食事をしっかりと取ると、血液の多くが消化管に廻され、せっかく戦って必要とされている血液が不足してしまう事態に陥ります。その結果、戦いに負け、風邪の状態が長引いてしまいます。
これは極端な話ですが、できるだけ少食にし、余力を残しておく必要があるといえるでしょう。
このように、単に食べればいいというものではなく、そのときの体の状態によって、つまり体に聞きながら食べる必要があるといえるでしょう。
「腹八分に病なし」常人でこの数値です。具合の悪いときは「腹六分」ぐらいの必要があるでしょう。
ここまでは、私の体験したことと、学んだことから書かせていただきました。
次回から、江戸時代の貝原益軒「養生訓」から何回か学んでみたいと思います。