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私の治療室から(その2)「続鍼はなぜ効くの?」
08th 11月 2006
「鍼はなぜ効くんだろう」との疑問について、前回少しお答えしましたが、『氣』がポイントとだけお話して終わってしまいました。
治療とは、「手当てから」始まったとも言われます。痛むところに手を当てることから始められましたそのことからすると、痛むところに鍼を刺す。痛むところを揉み摩る。と言うことはわかりやすいでしょう。しかし、それのみに留まらず、『氣』の存在を発見し、経絡経穴を見つけ出すことによって、経絡中に流れる氣・血の過不足を調整する方策を見つけ出したのです。この調整によって病や痛み等を治癒させていくことが更にパワーアップされていきました。この体系が完成し、古典と言われる医学書(黄帝大経)が紀元後間もなく完成されています。
ちょと難しい話になってしまいました。出来るだけわかりやすく例を挙げながら解説してみましょう。
例えば腰痛の場合。
当院に初めて来られて腰痛を訴える患者さんの中で、すぐにうつ伏せになって待っておられる方がいらっしゃいます。腰が痛いので、腰に鍼をしてもらいたいとの思いが働くのでしょうか。これに関しては、鍼灸未経験者でも同じ光景を見る事があります。つまり、潜在的に鍼は痛むところに刺すものとの固定観念があるのでしょうか。これもひとつの方法ではありますが。
私はすぐに仰向けになってもらい、問診等を行い、脉診を経て腰痛を起こしている基となる経絡の変動(氣・血の過不足)を見極めます。そして、この変動を調整することによって経絡のバランスをとり、そのことによって内臓(臓腑経絡)バランスを取っていきます。
その結果、腰痛を治そうとする力が増し(もともとあるが低下している治癒力を回復させる)痛みを取り除いていくことが出来るのです。
この際の刺鍼箇所は、病体が教えてくれている「証」によって示された手・足の要穴に対して行われます。この治癒力をまず増進させる刺鍼が大切なのです。
仕上げとして、痛む箇所への刺鍼を数本加えて治療を終えます。
やさしく書こうとすればするほどどつぼにはまってしまい、益々わかりにくくなってしまいました。
乳幼児の治療などは、てい鍼(ていしん)と呼ばれる刺さない鍼を用います。先ほど書いたように、体があらわす「証」によって手足の要穴にこの鍼を近ずけるだけで改善されていきます。
痛むところに鍼を刺し、刺激して改善させるとはずいぶん違いますよね。
「なぜ鍼は効くのか?」との答えにはなっていないようですが、鍼は痛むところに刺して刺激を与えて治癒させるというだけのものではなく、二千年以上前から伝えられてきている『氣』を調整すると言う極めて神秘的な刺鍼法・技術によってのみ達成されていくものといえます。
ポイント
「体が重く疲れやすい。気持ちが落ち込んで何にも出来なくなる等。この他、症状がある場合には必ず経絡の変動があります。氣による調整が必要です」
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