鍼と針について(その2)鍼の意味する本質とは
08th 2月 2006
前回の中で鍼は「戒め」を意味し、鍼師自らを戒め、また患者さんをも戒めると書きました。そして「ひとつにする」と言う意味合いもあることに少し触れておきました。
それでは「鍼」と言う文字の「咸・かん」の意味するところから考えてみることにしましょう。
「同じにする」「心をひとつにする」と言う意味があります。更に、心をひとつにするとは、「陰陽の調和」をも示唆しています。
それでは「陰陽の調和」「同じにする」とは何を言っているのでしょうか。陰陽の世界からで東洋思想・東洋医学の基本的な考え方や思考の仕方等お話しておきましたが、ここでは「鍼・経絡治療」との関係からお話させていただきます。
まず、治療に際して五臓六腑のことから始めましょう。「陰陽の調和」とは、例えば「肺と大腸」との調和を指しています。つまり、この二つを調和させ、アンバランスな働きを等しくすることを意味しています。このことは他の臓器にも同じことが言えます。これら五臓六腑がその陰陽のバランスを整え、同じような力で働けるようにする。これを「鍼」によって実現していくこと。これが「鍼」と言う文字の現す意味と言えます。陰陽の調和、これは体のどの部位においてもです(詳細はコラム2005年の陰陽の世界からをを参照ください)
これらのことでお分かりいただけたと思いますが、「鍼」は陰陽の調和を実現していくための道具、しかもそれは「気」の過不足を調整し、陰陽を調和させるための道具と言えるでしょう。
このことからも「鍼」は、単なる刺激するための道具ではないと言えるでしょう。
「鍼の本質」とは、お分かりいただけたでしょうが、経絡の虚実を捉え、補瀉することにより「陰陽の調
和」を実現していくために用いられるも。「気の調整」をするために用いられるものと言うことができるでしょう。
これらのことは、多分に私見が入っていますが、「鍼」と言う文字はこれらのことを包含し、治療法をも示唆していると言っても過言ではないかもしれませんね。
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