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ある日突然聞こえが悪くなり、耳鼻咽喉科へ診察を受けにいってみると中耳炎の影響で難聴になったといわれました。本人には、中耳炎の自覚もなく、いつそのような状態になったのかまったくわからないということでした。

数回診察を受けましたが、全く変化がなく、以前当院で受けた鍼を思い出し治せるかもしれないと当院を訪れました。前回治療を受けていた方とは全く別人でした。非常に強い不安を持ち、もしかしたらこのまま聞こえなくなってしまうのではと不安定な状態でした。

そのような状況下で初回の治療を行いました。少し時間が経過していますので1回の治療ですぐに劇的な効果はありませんが、継続していくことで変わっていくことを今回も説明し、二日後に来院をお願いし治療をおえました。やはり表情は曇った状態でした。

二日後に来院されましたが、初回の人とは全く変わった様子で少し笑顔が見えるようでした。問診してみますと、少し全体に軽くなり耳の感じが変わり聞こえがよくなったといわれました。暗いところから僅かではありますが灯りが見えてきたのでしょう。その後治療をしていくたびに難聴が回復していく感じを実感されていきました。

今回の症例は、病症が発症して日が浅かったことが回復への大きな要因だったと思います。治療回数は5回程でしたが、同時期に同じく中耳炎から難聴になられた患者さんが見えられましたが、発症からの期間が開いていたためか、この症例よりも回復に少し時間がかかっていますが回復されています。

また、小児の中耳炎(浸出性)の症例などでも同じようなことがいえるようです。中耳炎ですぐに鍼灸院の門をたたくことには抵抗があると思いますが、鍼による経絡調整によっても治癒へと導いていくことができます。なかなか鍼灸でこのようなことができるとは思えないでしょうが、このような方法もあることを知っていただければ感謝です。

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“ 貝原益軒 「養生訓」” 中公クラシックスより抜粋

みずからを欺かず

養生の要点はみずから欺くことをしないように、よく我慢することのある。みずから欺くというのは自分で悪いこと知っていることを嫌わないでするのをいう。悪いと知っていてするのは、あくを嫌うのが真実でないということだ。これがみずから欺くことである。欺くとは真実でないことだ。食事に限っていえば、たくさん食べるのは悪いと知っているが、悪いことを嫌う心が真実でないとたくさん食べてしまう。これがみずから欺くことである。その他のことも、これから推しはかれば良い。

完璧を望むな

すべてのことは、十のうち十までよくなろうとすると、心の負担になって楽しみがない。不幸もここから起こる。また他人が自分にとって十のうち十までよくあってほしいと思うと、他人の不足を怒りとがめるから、心の負担となる。また日用の飲食・衣服・器物・住宅・草木などもみな華美を好んではいけない。多少ともよければ間に合う。十のうち十までよいものを好んではならぬ。これもみな自分の気を養う工夫である。

よく知ること

ある人が、養生の道は飲食・色欲をつつしむのと同じであることは皆が知っている。しかし、つつしみがたく気ままになりやすいから、養生ができないのだといった。私はそうは思わない。これはまだ養生の術をよく知らないのだ。よく知ったら、どうして養生の道を行わないでいられよう。水に落ちれば溺死する。火に入れば焼死する。砒霜(ひそう・三酸化砒素の結晶)を飲めば中毒死することは、誰でも知っているから、水火にとびこんだり、砒霜を飲んだりして死ぬ人はない。多欲が生命をきずつけることは、刀で自殺するのと同じだという道理を知っていたら、どうして欲を我慢せずにいられよう。すべてその道理をはっきり知らないことは、迷いやすく間違いやすい。人が間違って不幸になったのは、みな知らないから起こったのだ。赤ん坊が這っていって井戸に落ちて死ぬようなものだ。

養生の道をよく知っていたら、どうして慾のままになって、身を慎まずにいられよう。

中を守る

養生の道は中を守るがよい。中を守るというのは、過不足のないのをいう。食物は空腹をなくすだけでやめておくがよい。間違って食べ放題になってはならぬ。これが中を守ることである。なんにでもこうするがよい。

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