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私の治療室から(その3)「続鍼はなぜ効くの?」
08th 1月 2007
「鍼はなぜ効くの?」と今回で3回目となりますが、書けば書くほどわかりやすくかけず、少し自己嫌悪に陥ってしまいました。わかりやすく書くことは難しいものだと改めて思い知らされています。しかし、このまま終わったのではさっぱりわからないままになってしまいますので、別の角度から再度チャレンジしてみることにしました。私が普段治療室で話していることなどをベースにしてみます。
まず、その1で書きましたように一般的な鍼のイメージは痛むところ・悪いところに鍼を刺して痛み等をとってくれると言うことのようです。これは大きな間違いではありません。実際にテレビや最近良く聞く健康番組等では、「この穴はどこそこに効く穴」「足のむくみにはこの穴を刺激してください」とかわかりやすく紹介しています。これは、東洋医学・鍼灸を普及すると言う観点ではいいのでしょうがこれだけでは東洋医学のすばらしさを伝えられません。
私たちは、生まれてこれまで西洋医学の中にどっぷりとつかり、西洋的な科学の中で生活しています。ですから鍼灸の世界においても病名・症状からこれに効く何々と考えてしまいます。鍼灸・東洋医学に携わっている私でさえ、ついつい西洋的なものの考え方をしてしまいます。ですから無理もないのです。でも東洋的な思想の中で生まれてきた鍼灸・東洋医学は、やはりその生まれてきた思想背景で考えていかなければ本来の意味を間違って解釈してしまいます。
またまた難しくわかりにくいことを書き連ねてしまいましたが、大切な部分ですので書いてみました。不十分な説明ですが、鍼灸の根底に流れる東洋的な思想・考え方と言うものがあることをご理解ください。
では、わかりやすく私が治療していることから書いてみましょう。
『頭痛のある患者さんの場合』
例えば偏頭痛の方で頭の脇が傷むという人がいます。一般的なイメージからすれば痛むところに鍼をすれば良い訳ですから、その部に何回も鍼をすることですむでしょう。でも、東洋的な古典鍼灸ではそうは考えません。「どうしてこの部に痛みが出るのか」これを東洋的に考察します。これを四診法(望・聞・問・切)を駆使し、原因(経絡の変動)を探ります。このときに切診のなかに含まれる脉診・腹診を十分に活用して経絡変動を見極めます。そして治療に入るのです。
その結果、この経絡変動を調整することによって、訴えのあった頭痛がなくなっていきます。このことは痛みをとるのみでなく、頭痛を発症しているからだの歪をも治しているのです。
次に、目の下にくまが出来ることがありますね。これは体が疲れきってぐったりしているようなときに見かけられます。それではこれを治すのにそこに鍼をするのでしょうか。そうされる方もいられるかもしれませんが。これは「胃・消化器系」の反応ですから体の示す変動経絡を理論によって調整することで次第に回復してくるのです。
このように、東洋医学のおける鍼灸は、東洋的な理論によってのみその力をフルに発揮できるといえるでしょう。
「鍼はなぜ効くの?と問われて答えるとすれば、東洋的な思考の内臓を中心とした経絡の変動が起こすからだの歪を鍼によって調整できるからです」と答えてしまいます。わかりにくいでしょうが。
ポイント
消化器の症状で次のようなことがあります。
- お腹がすいているのに食べるとすぐにお腹が一杯になる。
- お腹がすかないのに食べ始めると一杯食べれてしまう。
- お腹もすかないしあまり食べたいとも思わない。
これらはそれぞれに意味のある経絡変動を表しています。このような症状がある時には無理をして食べすぎず、からだを回復させることに心がけてください。
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