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貝原益軒「養生訓」から学ぶ(その2)
08th 6月 2006
先月に続いて、貝原益軒の「養生訓」から現代に欠け、見失っているものを学んでみましょう。
引き続き「中公クラシックス・貝原益軒 養生訓より抜粋」いたします。
外物のたすけ
人間の元気は、もともと天地の万物を生む気である。これが人間のからだの根本である。この気がなければ人間など生まれない。生まれてから後は、飲食・衣服・住居などの助けで元気が養われて生命を保つ。飲食・衣服・住居の類もまた天地の生んだものである。生まれるのも養われるのも、みな天地・父母の恩である。
たとえば、草木に水と肥料との養分を過ごすと、かじけて枯れてしまうようなものである。だから人間は、ただ心の内の楽を求めて飲食などの外の養分を軽くしたほうがよい。外の養分が重くなると内の元気がそこなわれる。
心気を養うには
養生の術はまず心気を養うがよい。心を和らかにし、気を平らかにし、怒りと欲を抑え、憂いと思いを少なくし、心を苦しめず、気を損なわずというのが、心気を養う要領である。また寝る事を好んではいけない。ながく眠っていると、気が停滞して循環しない。飲んだり食べたりしたものがまだ消化していないのに、早く床に入って寝ると、食気がふさがって元気を損なう。用心しなければならない。酒はほろ酔いが良く、たけなわになるなかばでとめる。食は飽食のなかばにとどめ、腹いっぱいにしてはならぬ。
また風・寒・暑・湿を畏れ防いで、立ち居振る舞いに節度をもうけて慎み、食後には歩行してからだを動かし、ときどき導引をやって、腰や腹をなでさすり、手足を動かし運動して血気を循環させ、飲食を消化させるがよい。
外邪を防ぐ
風・寒・暑・湿は外邪である。これにあたって病気になって死ぬのは天命である。それは聖人・賢者でものがれられない。だが内気を充実させて、よく用心して予防すれば、外邪のおかしてくるのもまたまれである。
風・寒・暑・湿の外邪を予防しないのは怠慢である。飲食・好色の肉欲を我慢しないのは過失である。怠慢と過失とはみな用心しないからおこる。
心を安らかに
心はからだの主人である。この主人を静かに安らかにさせておかねばならぬ。からだは心の下僕である。動かして働かさねばならぬ。心が安らかで静かだと、からだの主人たる天君は豊かで、苦しみなく楽しむ。からだが動いてはたらけば飲食したものはとどこおらず、血気はよく循環して病気にならない。
内敵と外敵と
およそ人間のからだは、弱くもろくはかない。風前の灯の消えやすいようなものだ。・・・・ いつも慎んでからだを大事にしたい。まして内外からからだを攻める敵が多いのだから、気をつけねばならない。まずは飲食の欲、好色の欲、睡眠の欲、また怒・悲・憂をもってからだを攻めてくる。これらはみな自分のからだの内からおこって攻めてくる欲だから内敵である。なかでも飲食・好色は内欲から外敵を引き入れてくる。もっとも恐るべきものだ。
風・寒・暑・湿はからだの外から入ってきて私たちを攻めるのだから外敵である。人間のからだは金石ではない。壊れやすい。ましてこんなに内外に敵を受けるのだから、内の慎みと外に対する防御がなくては、多くの敵に勝てない。まことに危ない。これだから人々は長寿を保てないのだ。用心を厳しくして、いつも内外の敵を防ぐ計画がなくてはならぬ。敵に勝たないと、攻め滅ぼされてからだをなくしてしまう。内外の敵に勝ってからだを保てるのも、その術を知ってよく防ぐからだ。
内敵に勝つには、心を強くして忍の字を用いることだ。忍というのは我慢することである。
まさに現代人の私たちにとっては、耳の痛い話ばかりです。飽食をしてからだを壊し、病気を引き起こして高額な医療費を使い、しまいには健康保険制度そのものの存続が危ぶまれるような時代になっています。今一度考えなおさねばならないようですね。次回に続きます。
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