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前回の中で鍼は「戒め」を意味し、鍼師自らを戒め、また患者さんをも戒めると書きました。そして「ひとつにする」と言う意味合いもあることに少し触れておきました。

それでは「鍼」と言う文字の「咸・かん」の意味するところから考えてみることにしましょう。

「同じにする」「心をひとつにする」と言う意味があります。更に、心をひとつにするとは、「陰陽の調和」をも示唆しています。

それでは「陰陽の調和」「同じにする」とは何を言っているのでしょうか。陰陽の世界からで東洋思想・東洋医学の基本的な考え方や思考の仕方等お話しておきましたが、ここでは「鍼・経絡治療」との関係からお話させていただきます。

まず、治療に際して五臓六腑のことから始めましょう。「陰陽の調和」とは、例えば「肺と大腸」との調和を指しています。つまり、この二つを調和させ、アンバランスな働きを等しくすることを意味しています。このことは他の臓器にも同じことが言えます。これら五臓六腑がその陰陽のバランスを整え、同じような力で働けるようにする。これを「鍼」によって実現していくこと。これが「鍼」と言う文字の現す意味と言えます。陰陽の調和、これは体のどの部位においてもです(詳細はコラム2005年の陰陽の世界からをを参照ください)

これらのことでお分かりいただけたと思いますが、「鍼」は陰陽の調和を実現していくための道具、しかもそれは「気」の過不足を調整し、陰陽を調和させるための道具と言えるでしょう。

このことからも「鍼」は、単なる刺激するための道具ではないと言えるでしょう。

「鍼の本質」とは、お分かりいただけたでしょうが、経絡の虚実を捉え、補瀉することにより「陰陽の調

和」を実現していくために用いられるも。「気の調整」をするために用いられるものと言うことができるでしょう。

これらのことは、多分に私見が入っていますが、「鍼」と言う文字はこれらのことを包含し、治療法をも示唆していると言っても過言ではないかもしれませんね。

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最近テレビ等で日本語に関するクイズ番組が増えているようですが、そんな中に「鍼灸院」をなんと読むかという問題がありました。
結構高い確率で正解していましたので、鍼灸院も結構認知されているんだと少し安心しました。
でも、「鍼と針」がどういう違いを持っているのかまでは知らないだろうなと思ってしまいました。
「鍼」の意味がわかったら、注射針や裁縫の針から受ける「針は痛い」と言う感じを変えることができるかも知れませんね。
前置きが長くなってしまいましたので、早速本題に入りましょう。
まず「針」の意味からお話してみましょう。 針は金と十から成り立っています。金は意符・十は音符で「穴のあるはりを意味し、しつけ針・縫い針をあらわします」
つまり、私たちが日常的に使っている裁縫の針がイメージされますね。
これに対して「鍼」はどうでしょうか。
意味を調べますと、「縫い針・薬ばり・病気を治す針」となります。
この二つを比較しますと、多少の違いはありますが 大きな差はないように感じられますね。
冒頭で意気込んで話始めたのに「なんともこんなものか」と思ってしまいますね。
実は、もっと大事な意味を持っているのです。
それには中国の金・ 元の時代に医書の中に使われている「箴(はり)」と言う文字にヒントがあります。
この文字も「鍼」と同じ意味で使われ、「鍼」を意味しています。
この「箴(はり)」は、「いましめる」とも読み、 行いを戒める・季節を軽んずると言う意味を持っています。
つまり、この時代にこの文字をわざわざ使っていることに何か意味があるのでしょう。
ただ、現代に暮す私には計り知れないものがありますが、この文字の「戒める」が大切と言えます。
私たち経絡治療を行う鍼灸師は、鍼を使って「気」の過不足を調整し、痛み等、病を治していきます。
つまり、「鍼」は単に刺激するための道具ではなく、「気」を扱うものなのです。
この「気」の調整を行うためには、鍼師自身体調を整え「気」を十分に出しながら治療に当たらなければなりません。
それほどに「気」を調整すると言うことは簡単ではないのです。
その意味で、鍼師自身自らを戒めながら、患者さん一人一人に接していかなければなりません。
この意味で、「箴(はり)」は同時に「戒め」をあらわしていると言えます。
更に、この「戒め」は悪しき生活習慣によって体調を崩し、病・痛み等を発生した患者さんにも向けられています。
鍼によって「気」を調整しつつ、悪しき生活習慣等を改めさせる必要があり、 脉診等によって知りえた患者さんの悪しき習慣を指摘していかなければ治癒へと導いていけません。
この「戒める」の中に大きく二つの意味があると言えます。
更に「鍼・戒める」の意味のほかに「ひとつにする」と言う意味もあります。
この「ひとつにする」の意味を含め「鍼」の意味するもののまとめは次回に続きますのでお待ちください。

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2005年以前の温穂堂健康コラムのバックナンバーはこちら

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